報酬を払うとアウト?意外と知らない「ステマの罠」 「トラブル」を回避する法律知識と正しい対応

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弁護士の見解は「景品表示法に違反する可能性がある」というものです。

発信力のある「インフルエンサー」を活用するインフルエンサー・マーケティングは、すっかり定着しました。事業者から直接配信する「広告」に比べて、消費者の共感を得られやすい効果があるとも言われます。

「口コミを装って宣伝するステマ」に該当

インフルエンサー・マーケティングは、企業がCMに有名人を起用するのと変わりはありませんから、インフルエンサーに広告を依頼すること、報酬を支払うことは、何ら問題はありません。

しかし、それを「広告である」と明示しない場合は、ステルス・マーケティング、つまり、それが宣伝広告であると消費者に気づかれないように行う宣伝活動とみなされます。いわゆる「サクラ」や「やらせ」と呼ばれていた宣伝活動です。

上記の自治体の例は、人気インフルエンサーに出演料を支払って動画に出てもらっているため、実態は広告です。しかも、その旨を明示していませんから、新聞記事にあるよう「口コミを装って宣伝するステマ」とみなされても仕方ありません。

一般の消費者は、広告を信頼して商品・サービス選びの参考にしています。仮に広告にうそが混じっていれば、それにだまされた消費者は不利益を被ります。このような不利益を防ぐために、景品表示法という法律が設けられています。

本件については、景品表示法に違反しているということになります。

上記の自治体がやっていた動画を使ったプロモーションは、報道のとおり「ステマ」ということになります。「自治体の関与が容易に判断できるため、ステマには該当しないと認識している」というコメントは、正当性がありません。

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