高齢ドライバーの免許「強制取り上げ」はできる? 法的にそのようなことは可能か弁護士が解説
90歳を超えた高齢ドライバーの事故なども報じられていますが、「一定の年齢になったら自動的に免許を取り消す」という制度にすることも考えられます。たとえば85歳以上というように区切ることには合理性はあると考えます。
一定年齢で免許取り消す制度は「合理性あり可能」
年齢での線引きには議論があると思いますが、高齢に伴う認知機能などの低下は個人差だけでは片付けられない領域があるはずで、「○○歳を過ぎれば、通常は運転する能力が一定程度落ちている」として、形式的に区切ってしまうことは可能だと思います。
免許を与えられた高齢者が事故を起こすという構図は、社会の問題でもあります。免許制度のあり方と公共交通機関の充実よりも車社会を優先してきたことのツケがやってきているといえます。
地方の過疎化は現在、急激に進行し、高齢化も以前とは比べものにならないくらい急速に進行しています。
以前は、80〜90歳の高齢者の運転が常態化していたわけではなく、また地方における買い物や病院も家族が対応可能な範囲で済んでいたり、公共交通機関も今よりはまだ機能していました。
しかし、最近は都市部でもバスの運転手確保ができず減便になるなど、以前のように高齢者が運転しないという前提そのものが崩れています。
今後、このままでは確実に自分で運転する高齢者層がさらに増えていくことが見込まれ、問題はさらに深刻になります。
高齢者の運転だけの問題ではありません。公共交通機関のあり方、車社会の是非も含め議論されるべきです。
猪野 亨(いの とおる)弁護士いの法律事務所
札幌弁護士会所属。離婚や親権、面会交流などの家庭の問題、DVやストーカー被害、高齢者や障害者、生活困窮者の相談など、主に民事や家事事件を扱う。
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