鉄道会社は「迷惑客」の乗車を拒否できないのか 宿泊施設は法改正でカスハラ客の拒否が可能に

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カスハラ被害と言えば、鉄道の現場でも後を絶たない。酔客による迷惑もよく聞くし、通過駅に停めるように執拗に要求するという話を聞くこともある。

ここ数年は鉄道好きの撮影者による係員への暴言、列車の緊急停止などの迷惑行為(犯罪行為を含む)も取り上げられるようになってきた。「撮り鉄」という言葉が蔑称にも聞こえるくらいである。鉄道でも迷惑防止の強化が叫ばれる世の中になった。

旅館業法の改正と同様、鉄道関係の法令も迷惑防止のために改正されるべきなのだろうか。

何をしてもいいわけでない

鉄道営業法では、違法行為や善良な風俗を乱す可能性があるとき、天災などにより運送が不可能なとき、鉄道での輸送にふさわしくないときなどの理由がない限り、輸送を希望する者の乗車を拒むことはできないと規定されている(第6条)。

こうした乗車拒否の禁止は、鉄道が独占的な傾向を持つ企業であることや、不特定多数の利用者に対し利用者を選別するようなことがあれば一般交通の利用を支える交通機関としての目的を果たせなくなることに理由がある。

鉄道の公共性からはやむをえないことだが、どんな客でも黙って受け入れろということとは違う。目的地まで安全に輸送をする使命を鉄道は担っており、乗車するからには安全・円滑・適正・正確な輸送を実現するため乗客にもルールを守ってもらう必要がある。

鉄道営業法の条文に従えば「違法行為や善良な風俗を乱す可能性があるとき」は乗車拒否をすることができるということである。

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