鉄道会社は「迷惑客」の乗車を拒否できないのか 宿泊施設は法改正でカスハラ客の拒否が可能に

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この規定の趣旨は、鉄道係員が旅客や公衆に対して親切かつ公正であることを担保するためとか、単に公正であることを担保するためなどと説明されるが、倫理規定を超えて失礼な態度を処罰するというのはほかではあまり聞かない。

鉄道営業法の趣旨を生かして、現場の係員が失行をしない節度を保ちつつ、迷惑行為を排除できる運用が求められる。

乗客にもマナー順守が必要

対等な運送契約当事者として、係員は乗客へ懇切丁寧な対応をし、乗客は係員への迷惑行為をしないようにしつつ係員から必要な指示があれば従うという意識づけが必要ということである。

かつては客の態度にいきすぎがあっても係員側がぐっとこらえるのが当然という風潮もあった。近年は、鉄道利用の場においても、カスハラへの社会的な視線が厳しくなり、迷惑行為の禁止、法令順守の徹底を図ることが求められるようになってきた。

鉄道営業法では迷惑防止のための規定や係員が業務上失態のないように定める規定まであり、旅館業法のような法改正は不要と思う。あとは当事者である係員と乗客が法令の趣旨を理解し、適切に使いこなすだけである。

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小島 好己 翠光法律事務所弁護士

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こじま よしき / Yoshiki Kojima

1971年生まれ。1994年早稲田大学法学部卒業。2000年東京弁護士会登録。幼少のころから現在まで鉄道と広島カープに熱狂する毎日を送る。現在、弁護士の本業の傍ら、一般社団法人交通環境整備ネットワーク監事のほか、弁護士、検事、裁判官等で構成する法曹レールファンクラブの企画担当車掌を務める。

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