猛反対の社内説得し「M-1協賛」、二代目社長の算段 M-1初代スポンサーがオートバックスだった訳

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ただ僕は、これはヒットすると思っていました。あそこまでブームになるのは想定外でしたが、これはイケると。だから皆が反対する理由が正直よくわからなかったんです。谷さんも本書で、「カー用品と漫才とはとても結びつかない」と書いてましたね。無理もないかもしれません。

カー用品の仕事はお笑いと一緒

ただ僕は、ウチはカー用品の会社だけどモノを売ってるんやないと、日頃から言っていました。

たとえばタイヤ。お客様から、「オートバックスのタイヤを履いたら、今までのタイヤよりカーブがスムーズに回れた」といった声を聞いたとき、目からウロコが2枚も3枚も落ちました。

僕らはお客様のそういう感動とか、新しい発見とか、そういうものを売っているんであって、タイヤはその道具に過ぎません。そこはお笑いと一緒なんです。何かを通してお客様を喜ばせている。道具と値段が違うだけ。

それはそうと第1回のM-1が開催され、決勝はテレビで放映されました。翌日には視聴率がわかります。特に関西では21.6%という、テレビ朝日としては驚異的な数字をたたき出しました。皆、大喜びですよ。反対していた役員も、さも最初から賛成していたというような顔してましたわ(笑)。

僕は第1回からすべて生で見ていたんですが、本書を読んで当時の光景が蘇ってきました。M-1は真剣勝負の面白さがあります。実力で1000万円を勝ち取る。ウチにとっても大きな金額です。

決勝のときの控え室をちょっと覗いたら、もうみんなピリピリしてました。冗談一つ言わない。ほんまにこの人ら、これからお笑いやるんか、というような感じで、殺気が漂っていました。それはテレビを通じて見ている人もわかるんやないですか。

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