大災害のリスクをどうヘッジすべきか--ロバート・J・ シラー 米イェール大学経済学部教授

金融のリスク管理の基本はリスクの共有だ。金融ポートフォリオを分散化すればするほどリスク共有者が多くなり、個人のリスクは小さくなる。理論的には、リスクを世界中に分散するのが理想的だ。そうすれば、何十億もの人々がそれぞれ小さなリスクを負い、過剰投資を行う人はいなくなる。

日本の例が示しているように、現状は理想から程遠い状況にある。21世紀になっても、金融技術は古いままであり、巨大なリスクがうまく管理されていない。

世界銀行の最近の研究では、3月の三つの災害(地震、津波、原発)による日本の損害額は、最終的に2350億ドル(この額には悲劇的な人的被害は含まれていない)に上ると推定されている。これは2010年の日本のGDPの約4%に相当する。

日本に対しては世界中から国際支援や義援金が寄せられていることもあり、「日本の経済的な損失は国際的に共有されている」と思う人もいるかもしれない。しかし、海外からの義援金は数億ドルであり、被害総額の1%にも満たない。日本はリスクの共有を必要としているが、義援金だけでは不十分なのである。

日本で営業する保険会社も損失に対し保険金を支払っている。前出の世銀の研究では、保険会社に対する総請求額は最終的には330億ドルに達すると推計されている。

ただし、保険でカバーされるリスクは全体の一部にすぎない。リスクの多くは、海外の投資家に効果的に分散されていない。日本は単独で費用を負担しなければならないのだ。

災害前に日本はリスク管理の手段として大災害債券(キャットボンド)を約15億ドル分発行していた。厳格に定義された条件を満たす大災害が起こった場合、大災害債の元本償還は免除される。大災害債は、日本が抱える地震リスクを、高い予想利回りを求める海外の投資家へと分散させるのに役立つ金融商品だ。

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