「勉強しなさい」が不要な子が育つ"親の接し方" 子どもの自己教育力を高めるための6のポイント

拡大
縮小

例えば、昆虫が「植物の受精」を手助けするという使命を果たしてくれないと、植物は種子をつくって繁殖することができず、人間や動物たちの食料が不足します。その結果、多くの生物が滅びるかもしれません。こんなふうに宇宙的な視野で見ると、この世のすべてはつながっていて、意味のないものは1つもないことがわかります。

そうした関係を知ることで、すべてに感謝できる心を育むこと。これが、モンテッソーリ教育の目的のひとつです。その上で、子どもたち一人ひとりに、宇宙的な視野で見た、自分の役割を見つけてもらうことが、モンテッソーリ教育の真の目的になります。また、そうした使命感を持つことが、さらなる学習意欲につながることにもなります。

こうしたことをもし子どもに考えてもらいたいなら、先ほど例に挙げた「昆虫と植物と動物の関係」や、「四季と植物の生育の関係」、「地球に四季があるわけ」など、さまざまなものが影響を及ぼしあって、世の中の調和を保っている例を話してあげるとよいでしょう。

このとき「どうして地球に四季があるか、知ってる?」「春になると桜が咲くのは、どうしてだと思う?」などと子どもに質問して興味を掻き立ててから話してあげると、関心を持って聞いてくれることが多くなります。

教科の全体像を最初に紹介する理由

Point⑤ グレートストーリーで、子どもの興味を喚起する

モンテッソーリ教育の小学校で「コスミック教育」を行う上で、中心となるのが「グレートストーリー」です。

「グレートストーリー」とは、想像力が芽生え始めた児童期の子どものためにモンテッソーリがつくったお話で、『宇宙の始まりの物語』『命の始まりの物語』『人間の始まりの物語』『言語(アルファベット)の物語』『数字の物語』の5つがあります。それぞれの物語で語られるのは、モンテッソーリ教育の小学校で学ぶ教科「地理」「生物」「歴史」「言語」「数」の教科の全体像です。

モンテッソーリ小学校の先生たちは、子どもが小学校に入学してきたら、これらのグレートストーリーを一番初めにお話しします。その理由は、グレートストーリーを通じて、子どもたちにこれから学ぶことの全体像をイメージしてもらうためです。最初に全体像を紹介することで、その分野の学びの扉を開くのが、グレートストーリーの役割と言えるでしょう。

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT