だから日本人は「英語で雑談」できない!

脳科学者と英語教育者が語る、英語上達法

安河内哲也(やすこうち・てつや)●東進ハイスクール講師、東進ビジネススクール講師。1967年生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒。英語指導歴は20年以上。企業研修講師として、受験生から社会人までを対象に英語を教える、カリスマ英語講師。著書は100冊以上。国外でも多数翻訳・出版されている。多忙な毎日の中、自らもさまざまな分野の勉強を続けている。TOEICテスト LR + SW 1390点満点。株式会社ティーシーシー取締役、言語文化舎代表。

安河内:リスニングのテストでも、「聞く」ことに集中するあまり内容を忘れてしまって、問題が解けないということはよくありますよね。

加藤先生は、その当時は「あまりリスニングはできなかった」とおっしゃいましたが、アメリカでの研究経験もあり、国際学会などでもプレゼンされているんですよね。リスニングを克服された時、いったい何が起こったのですか?

加藤:私の場合、リスニングが上達したのは、ひと通り英語でリーディングやライティングができるようになってからですね。その後、論文が認められてアメリカで研究者となり、ようやくリスニングが上達しました。

安河内:では、もともと英語が苦手だった先生が、リーディングやライティングができるようになった秘密はどこにあったのでしょうか?

「聞く」が苦手なら「見て」学べ!

加藤:「英語でしか手に入らない情報」を得たいと思ったことです。

安河内:「英語でしか獲得できない情報」を「獲得したい」という欲求で動いた、ということですね!

加藤:そうです。まずは「見る英語」でしたね。医師になりたての頃は年に2回、国際学会に出ていました。世界の研究者が英語でプレゼンしているのですが、当時はまったく耳には入ってこない。でも、ポスターセッションの画像や資料を見ると、その下にはリジェンド(legend=解説文)が載ってるんです。画像や資料は「医師としての知識」で理解できたわけです。そして、一度内容がわかってから英語で読むと、リジェンドの単語も頭に入ってきた。

しかも不思議なことに、その時に頭に入った英単語は、自分で書いて覚えたわけでもないのに、すぐに覚えることができたのです。

安河内:ちょっと待ってください! それはどういうことなのでしょうか。まず加藤先生は、「英語でしか手に入らない情報」を得ようとした。さらにその時、画像などのビジュアルイメージを見て、「推測力」を働かせながら、自らの「強い欲求」に従って文字情報を読んだ。この「欲求」と「文字情報」が結びついた時に、鮮烈な記憶となって英単語を覚えたということでしょうか。

加藤:そうですね。当時は特に、物事を理解する「理解系脳番地」が重要な役割を果たしたのだと言えます。英語や日本語の情報が一度処理されると、その内容は理解系脳番地で理解されます。当時は、MRIの技術は最先端で日本語の情報はありませんでしたが、学会に行くまでに自分の中で事前によく勉強していたのです。その予備知識をうまく使うことで、その時は英語の処理ができたと言えると思います。

つまり、英語学習はあくまで言語情報の処理が目的なので、内容を理解することに脳が集中してしまうと、言語処理にまで 手が回らなくなります。逆に、容易に理解できる情報で英語学習すれば、脳は言語処理に集中できるのです。

安河内:なるほど。確かに、環境問題に関心がない人が、英語で環境に関する英文を読んだり聞いたりしても、あまり深く理解することはできませんよね。英語情報を解析するための予備知識を「スキーマ」と言います。予備知識を駆使して英語を理解する。まさにこれは脳科学的にも正しかったと言えるのですね。

加藤:そうです。私の場合は、たまたま日本語では獲得できない最先端技術でしたが、事前に広く深く日本語で情報が得られる場合は、日本語で予備知識を蓄えることで、いろいろな話題に対応できるでしょう。

安河内:えっ、日本語! 日本語でもいいんですね!! 母語だろうと英語だろうと、予備知識は蓄えられますものね。文法や英単語だけが、英語の勉強じゃないということですね。

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鉄則その2:予備知識を「日本語」で蓄える!
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