だから日本人は「英語で雑談」できない! 脳科学者と英語教育者が語る、英語上達法

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安河内:一般の人は、まんべんなく全部の単語を覚えて、どんな会話にでも対応したい、と思うものです。でも実は、金融業に携わっている方は、金融の話題だと語彙が限られるので、英語でも会話がしやすかったりします。パイロットインストラクターである私の友人は、英語を使って町で物を買ったりするのは苦手でしたが、管制塔と英語で話すのは得意でした。

自分の「守備範囲」から英語を学ぶのは、学習方法としては有利ですよね。

加藤:そうなんですよね。今になって言えることですが、これは脳の観点から見ても正しい学習法だと言えると思います。

英会話のスタートは「雑談」じゃない

加藤俊徳(かとう・としのり)●新潟県出身。医師、医学博士、株式会社「脳の学校」代表。加藤プラチナクリニック院長。1991年現・国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターにて脳機能を光計測するfNIRS原理を発見。1995年より6年間、アメリカ・ミネソタ大学放射線科に研究員として在籍。帰国後は慶応義塾大・東京大学などでMRI脳画像診断の専門家として活躍。2006年に株式会社「脳の学校」を立ち上げ、脳の「個性」の鑑定を行っている。これまで1万人以上の脳画像を分析し、能力開発や学習障害の改善を専門に活動している。学生時代は英語は大の苦手で、大学の医学部受験時の英語の偏差値は50台。その後、国際学会に顔を出し、独学で英語を学び論文を発表した後、後のノーベル賞受賞者であるローターバー博士に見出され、アメリカで研究者となるまでになる。著書に『脳科学的に正しい英語学習法』(KADOKAWA)などがある。

加藤:私は脳を8つの脳番地に分けて説明するのですが、脳はそれぞれ「思考系(考える)」、「感情系(喜怒哀楽を感じる)」、「伝達系(伝える)」、「理解系(情報を理解する)」、「運動系(体を動かす)」、「聴覚系(聞く)」、「視覚系(見る)」、「記憶系(覚える)」で分けることができます。

実は脳が英語を話すとき、知らない単語が出てくると、「理解系脳番地」という場所を集中的に使うことになります。しかし、ここに脳の活動が集中してしまうと、英語を聞く「聴覚系脳番地」や、会話の流れを記憶する「記憶系脳番地」の作用が妨げられてしまうのです。

「英語は聞けた気がするけど、なんの話か覚えていない」というのは、そこに原因があると考えられるのです。

特に、ネイティブとの雑談は、話題が多岐に及びます。天気の話をしていたかと思うと、前日の野球の話に飛んだり、今朝は何食べた?と突然聞かれたりします。そうしているうちに、理解系脳番地が酷使されていくわけです。

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