灘→東大→YouTuber「年収捨てた」彼らの波乱人生 なぜ2人はあえて「エリートコース」降りたのか

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彼らの話題は次第に母校でのエピソードへと移る。

灘高生に共通するという「頭の回転が早い」「規範意識が強い」「自己中心的」という特性が、年が離れていても、知り合ってからの期間が短くとも、先輩・後輩という確かな安心感・親近感を抱かせるのだと彼らは語った。

それだけ聞くと、どこの学校でもあるありふれた先輩・後輩の関係だと思える。ただ、灘高校の場合はそれが超ハイレベルでの共通点であるため、結束も固いのだろう。

「受験をゲーム感覚で突き詰める」彼らの「勝利」の尺度は常人には計り知れない。200人程度いる同級生の中で100番以内であれば、東大はまず安泰だと言われる学校で、彼らはさらなる高みを目指し、偏差値競争のてっぺんを競い合う。

「東大理III(※東京大学医学部)、京医(※京都大学医学部)に進学すると勝ち組ですが、それ以外はそこそこという感じです」

「阪医(※大阪大学医学部)だとカッコつけられない空気がありました」

「成績のいい人は偏差値の高い医学部に行くことが受験というゲームの勝利条件という雰囲気がありましたね」

こうした常人には想像ができない超高レベルの仲間に囲まれての受験勉強は、彼らにとっても特別であったらしい。

灘から東大に入った2人の受験

田内氏は中学受験では灘、大学受験でも東大しかそれぞれ受けさせてもらっていない。この背景には、家庭の事情がある。

父親は中卒で、親族に大卒者も少ない。茨城で蕎麦屋をやっていたが、息子を東大に入れて人生を逆転させるために灘に入れたいと考え、田内氏が小学校中学年のころに一家で茨城から兵庫に引っ越した。

進学実績トップの浜学園に通う学費は払ってもらったものの、「受験料がもったいないやろ」ということで灘に受からなければ公立中に進学しなければならず、現役で東大に受からなければ高卒で働く可能性もあった(詳しくは「『父は中卒蕎麦屋』格差に直面した息子の驚く顛末」参照)。

つねに背水の陣、一発勝負を余儀なくされた彼のプレッシャーは並大抵のものではない。

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