「中国思想」は日本にどこまで受容されているのか 「礼」の本質は「かのように」振る舞うということ

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中国思想は日本にどこまで受容されているのか。気鋭の論客たちが徹底討議します(写真:ふじよ/PIXTA)
なぜ「無敵の人」が増え続けるのか。なぜ保守と革新は争うのか。このたび上梓された大場一央氏の『武器としての「中国思想」』では、私たちの日常で起こっている出来事や、現代社会のホットな話題を切り口に、わかりやすく中国思想を解説している。
中野剛志(評論家)、佐藤健志(評論家・作家)、施光恒(九州大学大学院教授)、古川雄嗣(北海道教育大学旭川校准教授)など、気鋭の論客の各氏が読み解き、議論する「令和の新教養」シリーズに、今回は大場一央氏も参加し、同書をめぐって徹底討議。今回はその後編をお届けする。(前編はこちら

改革がうまくいくための条件

中野:中国史を見ると、成功する改革や変法もありますが、大半が失敗に終わっています。この点について、施さんはいかがお考えですか。

『武器としての「中国思想」』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

:おっしゃるように、改革や変法って、だいたい失敗するんですよね。まるで、生物の変異みたいな感じで、いろんな試みをして、たまたま適応したものが生き残る。どういうものが生き残るかの予想は非常に難しい。

ただ、よき変異を生み出しやすい条件については、いくらか語ることはできると思います。

たとえば、『武器としての「中国思想」』でも強調されているように、多数の中産階級や中間層の人々を元気にしておくこと。そうであれば、いろいろな試行錯誤が行われ、百家争鳴となり、さまざまなアイデアが多数出てくる可能性は高いですよね。いろんな試みが行われれば、いいものが含まれている可能性も高い。

つまり、特定の改革や変法の案がうまくいくかどうかの予想は困難だけれども、多様な角度から多数の案が活発に出てくる条件をつくることは、できると思います。

大場さんは「中間層を元気にする」必要性について、どのような理屈で正当化されるとお考えでしょうか。

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