匿名座談会 「技能実習生に2カ月で逃げられた」 建設業の外国人労働者と経営者が本音を語る

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ただ、本人から給料の不満は聞いていなかった。監理団体からもうちの会社の給料は平均以上だと聞いている。少ないながらもボーナスを出して昇給もさせている。

自分の子どもが外国に行ったらさぞ心細いだろうと思い、一緒に食事に行ったり、インスタントラーメンやおコメなど食料の差し入れもして、かわいがっていたつもりだった。だから、2カ月で出ていかれたのはショックだった。

C 建設業に限らず、外国人材のリクルート方法は変化してきている。

昔は退社時間になると、工場や建設現場にリクルーターがやってきて、「おまえは今いくらで働いているんだ? もっといい時給を出すからうちに来ないか?」と生々しい交渉をしていた。スマホが普及したので今はSNSで求人しているところが多いね。もちろん外国人同士のネットワークで情報交換もしている。

露骨な差別を受けて悔しかった

──技能実習制度が変わり、転職の制限が緩和される可能性があります。外国人にも選ばれる職場をどうやったらつくれますか。

E 彼らは送り出し機関に借金をして日本に来ている。少しでも給料がいいところがあればひかれるのだろう。

ただ、転職制限がなくなったら地方に残る人がいなくなるのではないかと危惧している。公的機関が雇用に関わって、多額の借金をしない制度にしたほうがいいのではないか。

A 元請けからもらった仕事で栃木の工事現場に行くと、「外国人は現場に入れられない」といきなり言われた経験があります。あんな露骨な差別を受けたのは初めてで、悔しくて泣きましたよ。

大切なのは対話です。日本には優しい人がたくさんいる。外国の文化を学ぶ機会を行政が積極的につくっていけば、しだいに社会が変わっていくんじゃないですかね。

(聞き手:ライター 鈴木貫太郎、井艸恵美)
※個別取材を基に座談会形式に構成

鈴木 貫太郎 ジャーナリスト

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すずき・かんたろう

1981年生まれ。東京電力退社後、米オハイオ州の大学を卒業。早稲田大学ジャーナリズム大学院修了。米ニューヨーク・タイムズ東京支局、フィリピンの邦字新聞を経てフリーに。

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井艸 恵美 東洋経済 記者

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いぐさ えみ / Emi Igusa

群馬県生まれ。上智大学大学院文学研究科修了。実用ムック編集などを経て、2018年に東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部を経て2020年から調査報道部記者。

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