匿名座談会 「技能実習生に2カ月で逃げられた」 建設業の外国人労働者と経営者が本音を語る
E うちでは7年ほど前から外国人技能実習生の採用を始めた。実習生は会社全体で50人くらい。ほとんどがベトナム人だ。私は現場監督として、実習生を束ねている。
建設業界は大工の高齢化が進んでいて、現場ではつねに大工の取り合いになっている。建設は棟梁や先輩から怒鳴られて育つという世界で、若い人がなかなか来ない。
ベトナム人のメンバーは20〜30代前半で体力がある。人手が足りない現場に行ってもらうと、重い物の運搬作業や単純作業も難なくやってくれる。
彼らは会社が借り上げたアパートに住んでいる。住宅費も電気、ガス代なども会社負担だ。
給与は最低賃金時給で、手取りは月20万円を割るが、その半分以上は自国の家族へ仕送りをしている。そのうえ送り出し機関などに借金をしているので、1〜2年目はその返済もしなければならない。
日本は物価も高いし生活は厳しそうで、かなり節約して暮らしている。彼らは金を稼げると思って来ているから残業をしたがる。ノー残業と言われると困るようだ。
B そうそう。今は残業ができない。朝8時から真夜中まで休まず働けた時期も昔はあった。そのときは月60万円稼いで50万円を仕送りしていたよ。時間外労働は月120時間くらいだったかなあ。
昔は母国に会社をつくれた
──知人が今「日本で働きたい」と言ったら来日を勧めますか。
A 何の目的で日本に来たいのかと聞くでしょうね。遊ぶ目的なのか、それとも遊ばずに仕事に集中できるのか。昔ほど稼げないという現実を知る必要がありますね。
B 日本から送った資金を元手にして息子はブラジルでガラス加工会社を設立して経営者になりました。俺の誇りですよ。
でも、今は時間外労働をさせてくれないから、そこまでは絶対に稼げない。ブラジルの物価も上がっているしね。それでも日本に来たいならば、それは個人の自由だよね。