匿名座談会 「技能実習生に2カ月で逃げられた」 建設業の外国人労働者と経営者が本音を語る
C 物価上昇以外にも変化がある。外国人にとって、昔は金の使い道が今ほどなかった。中古車の買い方も知らないから、移動はいつも自転車でした。iPhoneもないし、インターネットもない。
今はいろいろな文化が日本にある。各国の食材を売っているスーパーもあるし、外国人が集まるディスコもできた。暮らしやすくなった分、散財したら金は貯まらないよ。
言葉の壁は大きい
──外国人と仕事をしていて、どんな苦労がありますか。
E やはり言葉の壁は大きいですね。
技能実習生は初歩の日本語を勉強しているだけ。スマホの翻訳機能を使って話している。ただ、難しい建築用語は翻訳が出てこない。ジェスチャーをしたり絵を描いたりして何とか伝えている。
病気になったときは、病院まで連れていって診療の付き添いをしています。彼らだけで行っても、医師から「日本語がわかる人を連れてきてください」と言われるので。
日本の習慣を覚えてもらうのが大変ですね。例えば、陽気に騒ぐなどして近隣から苦情が来たり、どこでも座ってしまったり。何かあったらすぐに注意をしています。
D 私の会社は道路建設など公共工事の請負をメインに受注している。汚れるしきつい仕事なので、もともと日本人の希望者が少ない。
以前は地元の工業高校の子が来ていたが、今は募集を出しても半年以上応募が来ない。外国人に頼らざるをえない状況だ。
現在はベトナムからの技能実習生が1人いる。以前はもう1人いたが、逃げてしまった。昨年8月に来たばかりだったが、10月に「福岡の友達のところに遊びに行く」と言って出ていったきり戻ってこなかった。
どうやらベトナム人同士のネットワークがあり、給与がより高い福岡市内の会社から誘いがあったようだ。