ドローンが新聞配達までやるようになる? 国際ドローン展で注目された機体の数々

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また、ドローン事故を補償する保険事業にいち早く乗り出した東京海上日動火災も、会場でパンフレットを配布し、来場者の関心を集めていた

現在、日本の市場で取引されているドローンの約70%は農薬散布機が占めている(シード・プランニング調べ)。ただシード・プランニングは今後農業用機の需要は微増にとどまり、今後は測量やインフラの点検、軽貨物の輸送などの需要は伸びていくと予測している。 

東日本高速道路は既に橋梁の点検にドローンを活用しており、使用しているカナダのエリヨン社製のドローン「スカイレンジャー」を展示。また東京電力福島第一原子力発電所の構内調査を実施したアトックスも、構内調査に使用した自社所有機の「MS-06LA」を出展した。

MIKAWAYA21の軽荷物運搬用のドローン

軽貨物の輸送では、MIKAWAYA21が、ドローンを用いた軽貨物の輸送の、新たなビジネスモデルを提示して注目を集めた。

同社は地方の新聞販売店と提携して、新聞を購読している高齢者へのサービス事業を展開している。同社はこの事業の一環として、新聞販売店が高齢者の買い物を代行し、それをドローンで高齢者の居宅に送り届けるというサービスを計画している。同社は既に徳島県などで試験を行なっており、数年後のサービス開始を目指している。

軽貨物輸送に用いるための課題

ドローンを軽貨物の輸送に用いる上で、大きな問題となるのが貨物搭載量の少なさと速度の遅さだ。自律制御システム研究所はこの問題を解決するための手段のひとつとして、ヘリコプターの持つ垂直離着陸性能と固定翼機の高速性能を併せ持つ、いわば「ドローン版オスプレイ」とでも言うべき高速長距離飛行型ドローンの開発を進めており、その試作機をドローン展に出展している。

同社は高速長距離飛行型ドローンの目標性能として、最大貨物搭載量15キログラム、高度最大速度150キロメートル、最大飛行距離100キロメートルを掲げている。高速長距離飛行型ドローンは、軽貨物の輸送のほか海上監視や火山活動の観測なども用途として想定している。このため来場した官公庁の関係者からも熱い視線が注がれていた。

ドローン展には自衛隊員も数多く来場していたが、彼らが最も注目していたのが前述した「スカイレンジャー」だ。

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