「アジアで取り残される」日本映画が直面する現実 韓国映画界トップが日本の映画の未来を危惧
AFAN発足に際して、日本への働きかけを行っていたパク委員長は「日本は名実ともにアジア映画の軸になる国。私を含めて韓国の映画人は日本の古典映画を観て映画を学んできました。アジア映画の発展のために日本の役割は重要。日本にそのための窓口がないことを残念に思っています」と語る。
日本でも民間では、映画監督や俳優のほかインディペンデントのプロデューサーら有志が個々に日本映画の発展のために世界で活動し、メッセージを発信している。
しかし映画を含めた文化育成や助成は、国の機関としても制度としても世界標準と比べると遅れており、国内のマーケットのみで成立してきた過去がある大手映画会社の危機感も乏しい。
諏訪監督は「日本にもフランスのCNCや韓国のKOFICに該当する機関が必要という認識を業界全体が自覚しないといけない。日本映画界の現況と比べて、アジアの映画界は危機感の持ち方がまったく異なっている。国外に出てみれば、危機を克服するためにいろんなことが起きているのがわかる」と苦言を呈する。
世界の動きから取り残される危機感
韓国では映画鑑賞料金(チケット代)の3%を映画発展基金としてKOFICが徴収し、映画界の発展、振興のために業界内に分配する仕組みを2007年からスタートし、2027年までの継続が決まっている。
また、コロナ禍から興行不振が続く今年の興行売り上げは2019年の60%台にとどまると見られ、来年度予算が大きく不足する。そうしたなか、KOFICの働きかけにより、その不足分は、体育振興基金のくじ基金から分配されることが決まった。
国の文化への理解と支援を得ているなか、KOFICはグローバルプラットフォームからの映画館のチケット代3%に代わる映画発展基金への徴収も目指して、政治家や関連業界との法改正を含めた交渉を始めている。
一方で日本においては、諏訪監督によるとaction4cinemaは基金の設立と映画チケット代からの1%の徴収を求めて業界団体と交渉しているが、それさえ実現していない。
コロナ禍を経て、映像作品を取り巻く環境は激変している。グローバルプラットフォームが世界のマーケットを動かそうとしているなか、日本の映画界はこのままでいいのか。それともいま動くのか。日本映画界はいままさに未来が変わる岐路に立っている。
韓国を中心にアジアにおける国を超えた共同制作や人的ネットワーク作りが進んでいるなか、諏訪監督は「アジアは動いているが、日本はそこに乗っかっていない。取り残されていることを強く感じています」と警鐘を鳴らす。
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