物価の優等生・バナナに異変、価格上昇も

半世紀変化がなかった価格が動き出したワケ

フィリピンは2012年12月に巨大台風に襲われ、生産地の2割弱が深刻な打撃を受けた。バナナを枯れさせるパナマ病の被害も広がった。この病気は土壌菌が原因となることから、台風で土壌菌が拡散した可能性がある。その結果、2010年から2013年にかけ、フィリピンの生産量は4%減少した(国際連合食糧農業機関〈FAO〉調べ)。

フィリピン以外の輸入先探しは現実的ではない。2013年のバナナの世界生産量1億0671万トンのうち、首位のインドは26%を、2位の中国は11%を占める。しかし、ほとんどが国内で消費され、輸出に回ってこない。

輸出量はエクアドルが長年首位の座を守り、2位をフィリピン、コスタリカ、コロンビアが争う構図だ。だが、輸出首位のエクアドルの生産量も干ばつなどの影響で、2010年から2013年にかけて25%減少。世界合計でも、ここ数年は中東など新興国で需要が増える一方、生産量は横ばいとなっている。

現地価格は3~4割上昇

フィリピンと日本は長期にわたって関係を構築してきた歴史もある。日本の商社は1960年代から現地生産者と協力し、日本市場向け大農園の開発に着手。1980年代半ば頃からは、糖度が増した高地栽培バナナの輸入も始まった。こうした努力の積み重ねで、フィリピン産は日本の店頭で不動の地位を築き、流通経路が確立された。日本はフィリピンからの輸入に頼らざるをえない状況なのだ。

2014年以降も生産量が回復しないまま、円安も店頭価格の押し上げ圧力となっている。日本バナナ輸入組合の林晃二事務局長は、「2013年初めから円ベースでの現地仕入れ価格は3~4割上昇している。輸入商社が上昇分のすべてをかぶるのは難しい」と言う。

実際に近年のバナナ価格はジワジワ上がっている。「値頃感」のなくなる日が来るかもしれない。

「週刊東洋経済」2015年6月6日号<1日発売>「価格を読む」を転載)

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