「宝塚とジャニ」被害者を追い詰めるものの"正体" 意外な人が人知れず追い詰められている
まず、いじめ、ハラスメント、誹謗中傷の被害者は、主にどのような心理状態になのか。
私が接してきた相談者さんの中でも、特に被害の深刻な人々に共通していたのは、「最初は怒りがあるけど、徐々に何も考えられなくなってきて、感情が失われていく」という心理状態。いじめ、ハラスメント、誹謗中傷の被害を受けた相談者さんは口をそろえるように、「ついマイナスなことばかり考えてしまう」「『言われても仕方がない』と思うようになって、ただ終わるのを待つしかない」などと言っていました。
明るい人の「大丈夫」にリスクあり
しかも、「明るい人や元気な人は大丈夫」というわけではなく、むしろ危険なところもあるのが難しいところ。「これくらいならまだ大丈夫」「もっとつらい人はいると思う」などと頑張りすぎてしまい、ストレスフルな状態を継続・悪化してしまう人が少なくありません。
とりわけ、パブリックな立場にある人、実績十分の人、プライドの高い人、しっかり者キャラの人などは、「人知れず追い詰められていて、気づいたときには手遅れだった」というケースが考えられるため、「あの人は大丈夫」などと決めつけないほうがいいでしょう。芸能人だけでなく、ビジネスで成功している人が「実は誹謗中傷に苦しんで追い詰められていた」というケースがよくあるだけに、同僚やビジネスパートナーなどは要注意です。
基本的に人間の人生にはプラス面とマイナス面があり、個人差こそあれ、通常時は両面をフェアに見て感情のバランスを取ることができます。しかし、いじめ、ハラスメント、誹謗中傷を受けたときは、マイナス面だけが一気に膨れ上がり、プラス面に目が向かなくなるほか、周囲の人々を見る目などもゆがみやすいもの。
たとえば、笑顔で話しかけてきた人に「この笑顔は嘘。裏では自分のことをバカにして笑っている」、気づかいの言葉をかけた人に「優しいふりをしてマウントを取っているだけ。どうせ心配なんてしていない」などと、ゆがんだ解釈をしがちなところがあります。
だからこそ周囲の人々は、「一度きりでなく繰り返し声をかけてケアする」とともに、上から目線などと決めつけられないために「できるだけふだん通りの落ち着いたトーンで接する」ほうがいいでしょう。傷つきやすくなっている状態だけに、「元気出して!」「頑張って!」などと明るく直接的な声をかけることは、逆効果のリスクがあることを覚えておいてください。
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