「未婚者は"幸福度が低い"」調査の裏側にある真実 果たして「結婚すればしあわせになれるのか?」

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未婚男性では、「結婚したい」と思うほうが「結婚したくない」という層より幸福率が16ポイントも高く、未婚女性でも同18ポイントも高くなります。まず先に本人がしあわせでなければ、そもそも「結婚したい」と思うようにもならないということです。

婚姻数が減っている要因は、そもそも結婚適齢年齢の若者の絶対人口の減少であり、年代別にみれば20代での初婚数の激減が大きな比重を占めます。男性の平均初婚年齢が31歳を超えているとはいえ、2022年の段階でも男性の初婚年齢の中央値は29歳台です。初婚する男性の半分以上は20代で結婚しています。

要するに、20代が20代のうちに結婚したいと思えないから婚姻数が減っているわけですが、それは若者の恋愛離れや価値観の変化というより、もしかしたら「20代の若者が昔よりしあわせでないから」ということなのではないでしょうか。

若者が「しあわせ」を感じられない理由

なぜ若者がしあわせを感じられないのでしょう。

その要因のひとつに、若者の経済環境の悪化という点があります。しかし、こうした「金がないから」という声を頑なに認めようとしない中高年層も存在します。

そうした中高年層はこう言うわけです。「俺たちの若い頃も給料は安かった。しかし、別にそれを不幸と感じることはなかったし、恋愛できないことや結婚できないことをお金のせいになどしなかった」と。

確かに、どの世代でも20代の給料は低いものです。しかし、中高年層が若者だった頃と大きく違う点があります。手取り額の減少です。今の若者の場合、ただでさえ少ない額面の給料があがらないうえに、社会保険料の相次ぐ負担増により、多くが「毎年給料があがっても手取りが減る」という状況に陥っています。

それでも、大都市にある大企業に勤務していれば給料の絶対額が大きいため影響はないかもしれませんが、社会保険料負担は所得が少ないほど負担率が大きくなるものです(参照:『中間層が「結婚・出産」できない日本の悲しい現実』)。

2022年の就業構造基本調査によれば、全国の20代未婚男性の年収中央値は額面で300万円にすら達していません。手取りはもっと低くなります。生活するだけで精一杯で、毎日が仕事と睡眠だけの日々であれば幸福度も何もないことでしょう。

もちろん、お金さえあれば解決するという話でもありません。しかし、カツカツのお金しかなければ、心の余裕を失い、将来に対する不安も増幅してしまうものです。

内閣府が実施している「国民生活に関する世論調査」では、長期的に男女年代別での生活の満足度などを調査しています。その中に、「日常生活での悩みや不安を抱える割合」がありますが、2022年の20代は77.8%に達します。

今の50代が20代だった頃の1996年の同割合は43.1%でした。額面給料が少ないことは同じにしても、今の若者とおじさん世代とでは手取りの額と生活の不安度がまるで違うということに留意しなければなりません。

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