なぜ「ジェラート博」に大行列ができたのか 「ジェラ放題」を目当てに甘いもの好きが殺到

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イベントも終盤にさしかかった午後6時からは、日伊の職人対決が行われた。日本から挑戦したのは、昨年の第1回マエストロコンテスト優勝者の森國晶子さん(ジェラートトリノ/福井市)、2015国際ジェラートコンテスト入賞者の神戸寿史さん(ロッテアイス研究員)の2人。対するイタリアの代表者は、2015年ミラノ万博イタリア館のジェラートショップを監修するセルジョ・コラルッチさん、イタリアジェラート協会所属のジェラート大使、マリオ・セラーニさんの2名だ。4名それぞれが制作したジェラートを6人の審査員が5点評価で審査し、合計点の多かった国が勝者となる。

日伊の職人対決……、その結果は?

対決に出品する作品の条件は、ブルーベリーフレーバーを使ったジェラートであること。爽やかでさまざまな素材との相性がよいブルーベリーフレーバーは、ジェラートの可能性を無限大に広げる味であるとして、ジェラート協会による2015年夏の推奨フレーバーに選ばれている。

結果は、28点対22点で、イタリアの勝ち。さすが、ジェラート本場の実力というべきか、イタリア勢のジェラートに対して6名のうち4名が最高の5点、あと2名は4点をつけた。

日伊の職人対決も行われた

最後にイタリアの職人から「日本の代表は私よりずっと若いのだから、これから追い越して行くと思う。本当は引き分けと言ってもいいぐらい」(セラーニさん)などと、日本の職人にエールが送られ、笑顔のうちに日伊対決は締めくくられた。

コンテストと日伊対決の出品作品はもちろん、会場の出店ブースでも提供されており、来場者も味わうことができた。普段ならコスト等の問題で実現できないであろう、材料にも腕にもよりをかけた出品作が12種類も並んだほか、同じブルーベリーフレーバーの食べ比べができるなど、来場者にとってはほかにない貴重な体験となった。

また、今回のジェラート博は「ジェラート職人の祭典」ともいえるイベントとなった。コンテストの出場者も他のジェラートショップの作品を味わい、交流が行われた。そして、「ジェラート職人」という存在が一般の人に知られる、よい機会でもあった。

ジェラート協会は、来場者約2000人という集計を発表した。入場規制を行ったため、入場できずに帰った人もいるようだ。日本ジェラート協会の二村さんによると、来年開催するかどうかは未定だという。

今回、入場できなかった人にも、数カ月後にチャンスがある。9月4〜6日に駒沢オリンピック公園(東京都世田谷区)で開催される「ジェラートワールドツアー東京」だ。マエストロコンテスト1位の柴野さんが出場する東アジア大会も、このイベントで行われる。こちらは入場無料だが飲食や物販については有料。約3万人の動員を見込んでおり、入場できなくなる、という心配はなさそうだ。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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