つまり問題の本質は、「コーディネートの正解は異なる」のに「似たような化学繊維のジャケット」が低価格帯に混在してきたこと。質感が似ていたとしても、シルエットが異なるため、合わせ方次第では違和感が生じるからです。この違和感こそ2万円以下のジャケットが安っぽく見える原因だと私は考えています。
だからこそジャケットのドレス感を見分けていく必要があるわけですが、知識もしくは試着なくして判断しづらいのです。たとえばジャケットライクな上着がショップハンガーに掛かっていたとしても、着用時点のフォルムについて想像しがたいもの。
この問題を解決するカギこそ、「AMFステッチの有無」なのです。
ビジネスジャケットはAMFステッチで決まる
AMFステッチは、アメリカの有名ミシン会社の頭文字を冠したネーミング。ミシンで縫っているのに、手縫いの雰囲気のみならず襟の印象が際立つため、現代ビジネススーツやジャケットの定番ディテールと言われています。
一方、ステッチがないジャケット襟は、フォーマル特有の「柔らかい印象が出る」という特徴があるのですが、昨今のカジュアルライクなジャケットの大半も、ステッチが見当たらないのです。これは私自身、あらためて紳士服大手量販5社をまわって気づいた視点。つまりAMFステッチの有無を確認することで、ジャケットのドレス感をある程度絞り込めるというわけです。
同じような低価格帯であったとしても、AMFステッチがあるジャケットならば、ワイシャツやネクタイ合わせも可能ですし、逆にステッチが襟にない化学繊維のジャケットは、ワイシャツやネクタイ合わせは避けたいところ。
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