柴田理恵が直面した往復6時間の「遠距離介護」 母が突然「要介護4」に。離れて暮らす娘の決断は
具体的には、「お正月には実家に帰って、一緒に大好きな日本酒を飲もう」「そのためにも、リハビリ頑張らないとね。お茶や謡も教えられんし。子どもたちも待ってるよ」と母の生きがいになる目標を提示して、治りたい気持ちを刺激したのです。
この作戦は見事に成功し、2018年の正月明けには一時帰宅が叶い、その年の4月には「要介護1」まで回復して、自宅に戻ることができました(昨年、腸閉塞を起こして以来、現在は入院中です)。
「遠距離介護」として行ったこと
母が自宅に帰るにあたっては、まず、ケアマネジャーさん、ヘルパーさん、担当医の方などにチームを組んでいただき、介護保険を利用して手すりを増やしたり、介護ベッドをレンタルしたりするなど、助言をもらいながら行っていきました。
他にも、チームの作成したプランに沿って、母が安全かつ快適に暮らせるように、私もできる限り時間をつくっては実家に帰省をし、家の片付けを行いました。
また、母が自宅に戻るにあたっては、ケアマネジャーさんとも相談して、デイサービスは月金の週2回、ヘルパーさんに来てもらうのは火木土の週3回という形にしました。
こういった形でスタートした在宅介護の開始時の費用は、介護保険を利用した分が月額2万7652円。内訳は、週2回のデイサービスに1万7425円、週3回の訪問介護に8997円、福祉用具レンタル(手すり・介護用ベッド等)に1230円といった具合でした。
本人の希望とはいえ、高齢の母を一人暮らしさせるわけですから、私自身、心配がないわけではありません。ですが、「あんたはあんたの人生を生きなさい」という母の言葉もあり、そこは思い切ってプロの助けに頼ることにしました。
その結果、介護保険も利用しつつ、高額になりすぎない形でプロの力を借り、仕事を離れない介護が可能になりました。
もちろん、そうした過程では、夜中にトイレに行こうとした母が転倒してアザをつくり、翌日デイサービスから連絡が入る、といったこともありました。
ただ、母にとっては、なるべく自力でやることが心身のプラスになっていたのも事実でした。
ですから、今回の本でも専門家の先生に言っていただいたのですが、「事故を起こさないことはすごく大事だけど、ゼロリスクにはできないし、親御さんの生活に対する納得感をどう考えるかもとても大事です」という言葉は、本当にその通りだと思います。
明らかに危険なものは別ですが、ある程度のリスクならやらせてあげる、という選択もあっていいのだと感じています。
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