「愛されなかった子」が大人になって抱える問題 子ども時代の影響はどのように現れるのか
また、心の拠りどころを持つ子どもは、「自分が生きているのは基本的に良いことだ」と思うようになり、大人になってからもこの感覚を持ち続けることができます。そして、この世界の中で、「自分は守られている」と感じることができ、自分を信じることができ、他者を信頼することもできるようになります。
この感覚は、「基本的信頼感」と呼ばれています。基本的信頼感は、人間関係における心の拠りどころです。
子ども時代のトラウマや刷り込みがトラブルの元に
ただ、子供のころに嫌な経験ばかりして、それがトラウマになっているという人も少なくありません。また、自分の子ども時代は至って“普通”だった、あるいは“幸せ”だったと思っていても、実はそう思い込んでいるだけという人もいます。
子ども時代に身近な人からの拒絶や不安を経験して、「心の拠りどころ」が持てず、基本的信頼感がきちんと育まれていないと、そのことが日常生活に影響を及ぼします。
自己価値観(自分に価値があるという感覚)が低くなり、たとえば、話している相手やパートナー、上司、あるいは知り合ったばかりの人が自分のことを本当に好ましく思っているのか、自分を快く受け入れてくれているのか、つねに懐疑的になります。
自分のことを心から好きになることができず、不安ばかり感じ、人間関係をうまく築いていくことができません。基本的信頼感が育まれなかったために、自分自身の中にしっかりとした「心の支え」がないのです。
だからその代替として他者から自信と保護と安心感、いわば、心の拠りどころを与えてもらおうとします。たとえば、他者からの承認を過剰に求めたり、恋人に依存したりすることはもちろん、お酒やその他の嗜好品に依存したり、買い物が止められなくなったりもします。しかし、そこで得られる安心感はほんの一時的なものでしかないので、毎回がっかりすることになるのです。
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