山崎パン絶好調「巧みな値上げ」で節約時代に脚光 株価は「上場来高値」、菓子パンでヒット連発
値下げでなく、新たな規格で勝負
開発体制の見直しも効いている。洋菓子はコロナ禍で高単価のコンビニスイーツなどに注力したが、さまざまな商品が高騰し、低価格帯を求める消費者も増えていた。そこで原料など規格を一から練り直した新商品を打ち出し、採算面はもちろん食べ応えなどの満足感も重視してラインナップを広げてきた。
人気の「薄皮シリーズ」も1月に1袋5個から4個へ減量したが、単に個数を減らすだけでなく、1個当たりの重量を1割ほど増量するなど、なるべく満足感を重視した施策を続けてきた。
開発現場では女性スタッフの意見も積極的に取り入れている。従来は男性の担当者が多かったが、価格帯にかかわらず女性ニーズを取り込む商品作りを意識した。こうした“攻め”の開発姿勢も奏功し、コンビニ向けなどで採用増につながっている。
コンビニ「デイリーヤマザキ」のテコ入れも進む。店内調理業態「デイリーホット」の拡充と同時に、管理面をより強化。アルバイトのシフトの見直しやパンを焼く時間を見直すなど、機会ロスや廃棄ロスの削減に努めている。そうした中で、グループならではの「空飛ぶドーナツ」などのヒット商品も貢献している。
子会社群の改善も業績を押し上げた。調理パン、米飯、惣菜を手がけるサンデリカは前年同期の3億円の営業黒字から12億円へ改善。
ベーカリーのヴィ・ド・フランスは不採算店の整理が進み、10億円の赤字から1.3億円の黒字となった。ヤマザキビスケットも0.5億円の赤字から5.8億円の黒字へ大幅に改善している。
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