山崎パン絶好調「巧みな値上げ」で節約時代に脚光 株価は「上場来高値」、菓子パンでヒット連発

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唯一、懸念されるのは不二家だ。前年同期の25億円の黒字から、今期は2億円の赤字に転落し、通期計画も下方修正した。主力の製菓は「カントリーマアム」など大袋製品が値上げの影響で数量が減少。洋菓子も卵などの原材料高騰や不良在庫を処分したことで低調だ。

不二家にとって外出の増加はマイナスでもあった。コロナ禍ではカットケーキなど小さい商品を増やし、巣ごもり需要をとらえたが、節約思考が高まる中では商品はやや割高に映った。これまで築いた専門チェーンとしてのブランド力もあり、安価な商品を投入することも難しい。

不二家はハロウィンやクリスマスなど10~12月期が書き入れ時。足元では限定ケーキなどの予約状況は良好で、終盤の盛り返しが課題になる。

2024年も好調は続くか

焦点は来2024年の動向に移りつつある。今期、同社は原料高の影響額として140億円を織り込んだが、主な原料である食油や小麦粉の価格はすでにピークアウトしている。一段の円安は気がかりだが、今期ほどの逆風とはならないもようだ。

引き続き値上げを浸透させて、消費者の満足度を重視しながら新たな規格の商品を投入する。コンビニや子会社群の改善も進める。地道な取り組みが実を結べば、2024年も好業績が期待できそうだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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