ウクライナ侵攻、医療者去った前線の村々の現状 残ったのは高齢者と貧困層「選択肢のない日々」

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ミサイルの直撃を受けたポクロウスクの集合住宅
ミサイルの直撃を受けたポクロウスクの集合住宅。2023年8月8日 ©Ken Hagiwara/MSF

終わりの見えない世界

「ウクライナへの人道医療援助は必要か?」といった質問を受けることがあるが、人々の苦痛は1つの物差しで測り結論付けることはできない。

少なくともはっきりしているのは、それまでの平穏な生活が破壊され、長引く戦争状態は市民1人ひとりの努力だけで解決できる問題ではない、ということだ。

さらに私たちが懸念しているのは、前線の向こう側、つまりウクライナ政府支配地域の外側に暮らす人々の状況で、これまでの経験から、そこには非常に大きい人道的ニーズ、医療援助の必要性があるのではないかと危惧している。

9月6日、ドネツク州コスチャンチニウカの市場にミサイルが撃ち込まれ、多数の市民が死傷した。

9月10日、日本から外務大臣とその一行が首都キーウを訪問した。おそらく彼らが車窓から目にした風景は、私がポーランドから入国し、東へ向かう車中から見たそれとさほど変わらないものだっただろう。果たしてウクライナが戦時下であることをどれだけ実感できただろうか。

ウクライナの人道的危機はいまだ終わりが見えず、2年目の厳しい冬が近づいている。

国境なき医師団 非営利の医療・人道援助団体

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こっきょうなきいしだん / Kokkyonaki ishidan

民間で非営利の医療・人道援助団体。紛争地や自然災害の被災地、貧困地域などで危機に瀕する人びとに、独立・中立・公平な立場で緊急医療援助を届けている。現在、世界約75の国と地域で、医師や看護師をはじめ4万9000人のスタッフが活動。1971年にフランスで設立、1992年には日本事務局が発足した。日本国内では、援助活動に参加する人材の採用・派遣、人道危機や医療ニーズを伝える証言・広報活動、現地医療活動を支える資金調達などを行っている(2022年実績)。

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