彼女にとってみれば、二者択一の会社の姿勢は偽善であった。上層部は判断を誤っている、目先のことしか考えていない、そう感じられた。
部外者である私は、こうした状況ではほとんど何もできないことが多い。私の顧客はメロニー氏の上司よりも階層が3つも上だったため、メロニー氏と直接話をするよう促すのは適切とは思えなかった。
ただ、彼に、技術の導入が進むにつれて従業員の士気が下がっているかもしれないから、「念のため」配送センターの見学をして進捗を確認するのはどうか、というようなことは言った。
職場における希望が重要な理由
実際、彼はその通りに行動したのだった。偶然にも、見学のガイド役を務めたのはメロニー氏だった。もしかしたら誰かにアドバイスされて、チームメイトの職を維持したいという希望を直接彼に伝えたのかもしれない。
そして、非常に高潔な人間である彼がその後取った行動も驚きではなかった。できる限り多くの職を確保するために必要なリソースをメロニー氏に与えるよう、配送センター長に強く「勧めた」そうなのだ。
また、1つ目の配送センターでの取り組みが終わったら、2つ目の配送センターでも同様の取り組みをメロニー氏に主導してほしい、とも。
メロニー氏は希望を捨てなかった。かつて会社が宣言した自社のあるべき姿は実現可能だと。そのための明確なビジョンも持っていた。彼女は真実を語り、正しい行動にコミットし、より高次なパーパスのために尽力した。
そして、そのような活動を目にした多くの同僚もまた、彼女と同じ姿勢や行動を取ることができたのである。メロニー氏は、自分自身に与えたセカンドチャンスを仲間にも与えたかったのだ。彼女の励ましと適切な研修によって、全員が全員ではないが、多くの従業員が変わることができた。
困難な状況にも屈さず、自分が先頭に立って道を切り開く、そのような彼女のコミットメントに火をつけたのは希望だった。そして、キャリアの危機にあった同僚に対しては、彼女自身が希望であり続けたのだ。
メロニー氏の経験からもわかるように、我々には、組織の誠実な在り方を手助けする力がある。誠実な組織、誠実な人間でいようとしたときほど、希望の存在が重要になるのだ。
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