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フィリピンとの「準同盟」は日本の国益にかなうか アメリカに押され前のめりの日本、リスクへの覚悟は

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  • 柴田 直治 ジャーナリスト、アジア政経社会フォーラム(APES)共同代表
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南シナ海でアメリカが米比防衛条約を発動させる事態になったら日本はどう対応するのか。2015年に成立した安全保障関連法は、アメリカなど「密接な関係にある他国」が攻撃された場合は、存立危機事態として集団的自衛権の発動対象となるとしている。これに該当するのか。

隣国フィリピンとの準同盟化を進めるに際して、政府がその中身や意図を国民に十分説明しているとはとても言えない。ODAで鉄道を整備するのとは話が違う。

南シナ海の紛争に巻き込まれる恐れ

南シナ海で比中、あるいは米比中が戦争になった場合、日本はどのようにかかわるのか、あるいはかかわらないのか。準同盟化は影響するのか。国会で議論し、政府は真摯に答える必要がある。

アメリカとフィリピンは2023年、防衛協力強化協定(EDCA)でアメリカ軍が使用できるフィリピンの基地をこれまでの5カ所から9カ所に増やした。

増やした基地4カ所のうち、南シナ海の最前線にある西部パラワン州の1カ所を除き、3カ所はルソン島北部に集中している。台湾有事に備えたシフトであることは明らかだ。日比の準同盟化は、台湾有事にも影響するだろう。

自民党政権が当面存続しそうな日本と違い、同盟国や準同盟国では政権交代がありうる。アメリカにトランプ第2次政権ができれば、アジアの安保環境も激変する。

フィリピンではドゥテルテ政権からマルコス政権に代わったことで、対外政策は親米に復帰したが、5年後には政権交代がある。現時点ではドゥテルテ前大統領の娘で中国と近いとされるサラ・ドゥテルテ副大統領が最有力候補だ。同志がいつまでも同志とは限らない。

米中はいがみ合っていてもバイデン・習近平の首脳会談が11月中旬、アメリカで催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)で実現する。フィリピンも1月に首脳会談を行った。もう1つの準同盟国であるオーストラリアのアルバニージー首相も訪中し、11月6日に習近平氏と首脳会談に臨んだ。

「同志」との関係強化に突き進むばかりで、対立する相手の首脳との対話が見通せない日本の外交・安全保障は果たして大丈夫なのか。

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