日本の「世界に乗り遅れた感」はどこから来るのか モビリティ産業の未来はどうやら明るそうだ

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彼らにとっては、日本市場はやはりマージナル(辺境)な存在に映るのだろう。少々残念なことではあるけれども、この国では輸入車は趣味のアイテムとされているし、人口減少のお陰で販売台数もあまり増えそうにない。これも時勢というもので、たぶん上海モーターショーの賑わいには及ばなくなっているのであろう。

などと観察しているうちに、だんだん心配になってきた。これまで日本経済を支えてきた自動車産業は、はたして「未来は明るい」といえるのだろうか。

「輸出品目1位」の「日の丸自動車」が抱える大問題

日本の輸出品目において、自動車が鉄鋼に代わって第1位になったのは1980年頃からである。そもそも40年以上もトップを走り続けてきたこと自体が、この変化の激しい時代においては「一種の奇跡」と言っていいのではないか。

足元の貿易統計を確認すると、2022年度の日本の輸出額が99.2兆円。うち自動車輸出は13.7兆円で堂々の第1位であり、自動車部品が3.7兆円で第5位を占めている。

今年度上半期になってもその勢いは健在で、4~9月の自動車輸出は前年同期比37.9%増の8.7兆円となっている。昨年の自動車業界は半導体不足に苦しんだものの、そのくびきを離れた今年はまさに絶好調。11月1日に発表されたトヨタ自動車の2023年4~9月期決算は、円安の追い風もあって通年の純利益予想を3兆9500億円(!)に引き上げたくらいである。

しかるに自動車業界は大きな問題を抱えていて、それは日本社会全体が「EV(電気自動車)シフト」に後れを取っているからだ、との指摘も重く響く。その証拠に今年は中国のEV輸出が絶好調で、通年の自動車輸出台数で日本は世界1位の座を中国に奪われるだろうとのこと。中国の輸出台数は、今年上半期は前年同期比75.7%増の214万台。そして自工会によれば、同時期の日本からの輸出は202万台である。

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