真木よう子、喧嘩別れした仲代達矢に「謝りたい」 10代で無名塾を入団と退団、その経緯とは
真木:それと、私は漫画マニアで、自分の好きな漫画が実写化されるのがすごく嫌なんです。だから『アンダーカレント』も、他の人が演じたら「違う!」って思っちゃうから映画は見ないだろうと思って、それなら誰にも渡したくないなと。
樋口:わかります! 僕もこの世で漫画の実写化が一番難しいと思います。でも今泉さん(今泉力哉監督)は、真木さん演じる主人公・関口かなえの宙ぶらりんな感覚をすごくいい風に切り取ったなと思いました。
真木:ありがとうございます。
樋口:俳優が原作の小説や漫画に強い思い入れを持って出演を希望するのって、「原作の素晴らしさを伝えたい」とか、真木さんみたいに「他の人にやらせたくない」とか色々あると思うんです。でも僕は女優・真木よう子にとって、かなえを演じることはある種のセラピーだったんじゃないかとも思いました。
真木:セラピー。なるほど。そう言われると、確かに腑に落ちるかもしれないです。
樋口:実際、かなえを演じてみてどうでしたか?
真木:かなえちゃんは過去にとても辛いことがあって、それを抱えて苦しみながらも、ちゃんと生きているんですよね。探偵役のリリーさん(リリー・フランキー)に色々言われたりもするけど、本当は自分でしっかり考えていて。
樋口:そうかもしれないですね。俳優さん自身の人生の経験値も、演技に投影できるものですか?
真木:もちろんできると思いますし、逆に役に教えてもらうこともありますね。
樋口:今回のかなえ役は、きっと10年前でも演じられなかったし、10年後でもまた違ったなんだろうなって。真木さんはすごくベストなタイミングでこの作品をやられたなと感じました。
真木:確かに10年前なら、できなかったかもしれないですね。
懇願してLINEを交換してもらうほど、大好きな江口さん
樋口:映画はずっとシリアスですが、僕はかなえの大学時代の同級生・菅野を演じた江口のりこさんと真木さんのやり取りを見ていて、すごく楽しかったんです。映画『パッチギ』(2005年)でヤンキーだった2人がこんなに更生して一般の女性になったんだ〜とか思ったり(笑)。 映画ってそういう見方も楽しいじゃないですか。僕だけじゃなく、観た人は思ったんじゃないかな?
真木:アハハ。あの時ヤンキーだったあの2人がね(笑)。
樋口:そうそう。江口さんもお母さんになってて(笑)。江口さんとは、懐かしいねみたいなやり取りもあったんですか?
真木:江口とは、懐かしいとかないんですよ。私は懇願してLINEを交換してもらうくらい江口が大好きなんです(笑)。でも、この前、舞台※でずっと一緒にいたんですけど、 仕事がなかったらほとんど会わない。それでもどっかでまた会ったら、久しぶりとかもなく、そのまんま一緒にいられるんですよね。
※今年6〜7月に公演された、韓国映画『パラサイト』の日本版舞台。