「国立劇場」建て替え入札業者すべて辞退の裏事情 伝統芸能の聖地が再開メド立たない異常事態に

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しかし、2度目のPFI事業者入札ですべての応募者が辞退したということは、今ある半蔵門で伝統芸能ほか舞台公演によって観客を集め、かつ、作った建物で利益を生むことは難しいと判断された可能性が高い。

そこで「新たな国立劇場を築地に移転しては?」と主張するのは、評論家・翻訳家で文楽や歌舞伎に造詣が深いゲーリー・パールマンさんだ。

半蔵門という場所は、外堀通りを挟んで皇居に面し、江戸時代からのお城の趣が感じられる地である。だが、最寄りの半蔵門駅の駅施設は小さく、劇場の隣も最高裁判所で、観光地でも大きなオフィス街でもない。そんなところに消費者はわざわざショッピングやレストランでの食事を楽しみに来るだろうか。

「芝居を観に来る観劇者と、ホテルの宿泊者だけを頼りにするプランでは、そもそもたくさんの人を集め、消費活動をしてもらうことにつながらないだろう。PFIが失敗したのも、やはり民間企業はそれを懸念しているからではないのか」(パールマンさん)。

銀座界隈の地の利を生かせれば

この問題を解決するのが、国立劇場の場所自体を移動する大胆な案だ。「例えば旧築地市場跡地など銀座界隈はどうだろう。銀座、築地自体を目的に来る人々がいる。そして、松竹系の歌舞伎座と演舞場、東宝系の宝塚劇場、日本生命の日生劇場、劇団四季の「海」(汐留)などが近接しており、半蔵門と比べて集客は格段にしやすい」と熱く語る。

【2023年11月10日8時35分追記】初出時の「日生劇場」の所有者についての表記を修正しました。

たしかにこの地域で国立劇場がその一群に入れば、「東京版ブロードウェイ」として、世界に売り出すチャンスにもなるだろう。この地の利があれば、劇場と同じビルにホテルや小売店、娯楽施設なども誘致しやすくなり、利益の上がる施設になるだろう。

パールマンさんは、さらに新たな国立劇場のコンセプトについても言及する。歌舞伎の場合、観劇者からすると、普通の劇場より由緒ある歌舞伎座で観たいという気持ちが強い。劇場自体が異空間の体験の場でもあるからだ。ならば国立劇場はさらにその先を行ってはどうかという提案だ。

「例えば、客席を江戸時代を思わせる升席風の造りにする等、歌舞伎座や他の近代劇場とは一味違った雰囲気を出すこともできるのではないか。故中村勘三郎が浅草などに仮設した平成中村座を参考にしてもいいだろう。工夫次第で東京の他の劇場と差をつけ、観劇者がそこに行く動機付けになる。日本にしかない雰囲気は訪日客にも魅力的で、インバウンド需要に貢献することになる」と言う。

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