日銀「1%上限」撤廃は住宅ローン地獄の始まりか うどん屋とハンバーガー屋で読み解く日本経済
これは、金利が5%になったパラレルワールドの日本だ。
哲男のように金利5%で3000万円を借りて、元利均等払いで35年返済を選んだとき、月々の返済額は15万1406円。初月分については、そのうちの元本返済額はたったの2万6406円、利息返済額は12万5000円にもおよぶ(時間が経つにつれて、利息が占める割合は徐々に減っていく)。
これではなかなか元本は減らない。金利だけが膨らみ、35年後に完済するときには、支払った利息の総額は3350万円を超える。借りた金と同額以上の利息を支払うことになるのだ。
パラレルワールドと書いたが、まんざら起こり得ない話ではない。アメリカでは金利が高騰し、政府でさえお金を借りるのに(アメリカ国債を発行するのに)、5%近い金利を支払っている。ましてや、一般人が住宅ローンでお金を借りるときの金利はもっと高い。
このアメリカも、2020年の年末時点では、10年国債金利が1%にも満たなかった。それが3年もたたない間に、一気に5%まで上がった。
長期金利「1%上限」撤廃でわかる日本の現状
リアルワールドの日本は、日本銀行による低金利政策によって、住宅ローン天国が続いている。ところが、である。
先日、日本銀行が長期金利の1%の上限を撤廃した。そして、長期金利だけでなく、長年ゼロ金利に据え置いていた短期金利についても、近々上昇するのではないかとの臆測が飛び交っている。
これらのニュースを聞いて、心をザワザワさせている人も多い。
「大丈夫ですよ。長年、日本では金利が上がっていませんから」という銀行マンの営業トークにそそのかされて、変動金利で住宅ローンを組んだ人たちだ。
アメリカでは、短期金利も長期金利も5%近くまで上昇している。パラレルワールドにいる哲男のようなことになりかねない。
さて、日本もアメリカと同じ道を歩むのだろうか?
この1、2年、世界中でインフレが起きていて、アメリカドルだけでなく、ユーロ、ポンド、カナダドル、オーストラリアドルなど世界のあらゆる国々で、金利が一気に4~5%近辺にまで上昇した。ところが、日本だけは取り残されている。
その理由は、日本のうどん屋と、アメリカのハンバーガー屋の違いだ。
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