日銀「1%上限」撤廃は住宅ローン地獄の始まりか うどん屋とハンバーガー屋で読み解く日本経済

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
会見で話す植田和男総裁
10月31日の金融政策決定会合で、長期金利が1%を超えることを容認するとした日銀の植田和男総裁(撮影:今井康一)
「お金の本質を突く本で、これほど読みやすい本はない」
「勉強しようと思った本で、最後泣いちゃうなんて思ってなかった」
経済の教養が学べる小説きみのお金は誰のため――ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」には、発売直後から多くの感想の声が寄せられている。本書は発売前から2万部の重版が決まった話題作だ。
著者の田内学氏は元ゴールドマン・サックスのトレーダー。資本主義の最前線で16年間戦ってきた田内氏はこう語る。
「みんながどんなにがんばっても、全員がお金持ちになることはできません。でも、みんなでがんばれば、全員が幸せになれる社会をつくることはできる。大切なのは、お金を増やすことではなく、そのお金をどこに流してどんな社会を作るかなんです」
今回は、日本銀行が長期金利の1%の上限を撤廃した意味と、私たちの生活への影響を解説してもらう。

超低金利に慣れきってしまった日本人

「えっ、この数字、本当に合ってます?」

きみのお金は誰のため: ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」
『きみのお金は誰のため――ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

ローンの返済表を渡された会社員の哲男は、眉をひそめた。

毎月の返済額が15万円程度なのは知っていた。ところが、初月分の利息の欄には12万5000円と書かれている。返済額の約8割が利息の支払いなのだ。

「いえ、その数字で間違いないですよ」

紺のスーツを着た黒メガネの男がニコッと笑った。

哲男が来ているのは、消費者金融ではない。誰もが知っているメガバンクだ。念願のマイホームを購入するために、住宅ローンを組んだのだ。

黒メガネの銀行員は、自信ありげな顔で続けた。

「お客様には、特別に5%の優遇金利を使わせてもらいました」

こうして、哲男は住宅ローン地獄の門をくぐった。

次ページ金利5%は海外ではごく普通の水準
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事