「人生終わった」税務調査で色々バレた人の末路 「水商売が家族にバレてしまったケース」は意外と多い

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これらの密告に関しては、税務署の総務課が対応しています。このように一見すると簡単そうに見えますが、密告をする際には注意が必要です。実は、税務署の方に聞いたところ、かなり多くの密告があるそうで、ただの妬みや僻みから「あいつは絶対に脱税しているから調査してください!」というような証拠が不確かな密告も多いそうです。

これでは税務署も動けないため、密告するにあたっては脱税の証拠を提供できると税務調査に発展しやすくなります。例えば、飲み会で脱税について話していたという場合、そのときの音声を録音して保管するといった具体的な証拠があると、税務署もその情報を軽視するわけにはいかなくなるでしょう。

また、報告する際には、相手の名前や住所、隠し帳簿の場所など、具体的な情報を提供する必要があります。もしあなたが、脱税をしている人を知っていて、証拠もある場合は、情報をまとめて税務署の総務課などへ提出すると、税務署が動き始めます。

税務署が来て逮捕されるケース

ただし、密告は匿名でもできますが、誤った情報や根拠のない密告は避け、責任ある行動を心がけてくださいね! 私の税理士事務所には、しばしば「税務調査がくるんですけど、僕って逮捕されますか?」という電話がかかってきます。

その人たちの申告漏れというのは大体、毎年数百万円くらいの方が多いのですが、ひとまず安心してください。

数百万円レベルでの申告漏れで逮捕されることはまずありません。

税務調査には大きく2種類あります。

1つ目は、税務署が行う通常の税務調査で事前に連絡があります。

もう1つは、「査察」と呼ばれる調査です。国税庁の資料によれば、「査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に資することを目的」としています。

要約すると、「悪質な脱税者を逮捕して見せしめにする! 結果、みんながちゃんと申告するようにする!」という感じでしょうか。先ほど、大阪城公園のたこ焼き屋さんの税務調査を紹介しました。あのときの税務調査は、まさにこの査察でした。

そして告発され、マスコミからも報道され、72歳にして1億3000万円の税金を課せられるという事態に発展しています。

逮捕される可能性があるのは、このような査察が来たケースになるのですが、まずは査察がどのくらい行われているのか見てみましょう。

次のページの上の図は国税庁が公表している資料になります。令和2、3年度はコロナの影響で件数が減っていますが、それでも毎年150件程度の査察が行われています。そして、70%前後の確率で告発されています(脱税犯として訴えられています)。

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