「渋谷ハロウィン」規制動画に外国人が憤慨の訳 大事な意図を伝える努力をしていない残念さ

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例えば、動画はとても失礼なメッセージで始まるーー「STAY AWAY!FROM SHIBUYA」。「Stay away」というのはお願いや要請というよりは、命令のニュアンスが強い(対して、日本語字幕は「渋谷から離れよう!」というより優しいメッセージになっている)。今回のようなシチュエーションであれば、「Avoid」や「Steer clear」という単語を使ったほうがよかっただろう。

意図自体は間違っていなかったとしても、明らかに日本人以外がどう受け止めるか考慮していないことがわかる。実際、多くの外国人が動画における言葉遣いに驚いていた。

動画はさらにここから酷くなっていく。「自分の行動が他人にどう影響するかは選べない」「被害者になるか加害者になるかは選べない」と英語で人々に警告するのだ。

渋谷区の動画

もし私が、これらのメッセージの元となった日本語(日本語の字幕部分)を読めなかったとしたらーー実際ほとんどの人は読めないだろうーー、私は完全に当惑するだろう。

大事な部分が説明されていない

字幕の日本語はわかりやすく、不安を煽るような言葉もあまり使われていない。意図の有無にかかわらず、ハロウィンに渋谷に来るような利己的な行為をすることで、誰かがけがをしたり、事故にあったりする可能性があること、また、危険で災難を引き起こす可能性のある、制御不能な群集の一部になってしまう可能性も示唆している。こうした部分は外国人向けの動画ではまったく翻訳されていないし、説明もされていない。

この動画の主題がそれほど深刻なものでなかったとしたら、配慮に欠けた英語は笑い話になるだろう。だが、この動画は軽んじられることを意図したものではない。ハロウィンに渋谷に集まることの危険性を外国人に知らせるためのものだった。つまり、命を救うためのものだったのだ。

そうした意図があるのであれば、なぜこの動画の英語が日本語字幕と同じように丁寧で、礼儀正しく、わかりやすいものになるよう、あらゆる努力がなされなかったのだろうか。

皮肉なのは、こうした外国人に対する無関心さは、日本に住む外国人が1年中364日(ハロウィンの日以外)、笑顔で我慢しなければならないフラストレーションの1つに過ぎず、だからこそ、ハロウィンの日に渋谷の街で仮装してはしゃぐことが、普通以上に魅力的に映ってしまうことだ。

渋谷ハロウィン
10月29日の夜、渋谷には大勢の警察官が出動していた。写真はセンター街の様子(写真:編集部撮影)
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