好調ファミマが変えた広告代理店の「使い方」 ここ数年で販促手法に大きな変化が起きていた

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この分割によって、1つの案件に複数の代理店が参画するようになった。そして代理店同士が協力し合うチームのようになり、企画の立案から実行、終了後のレビューまでを共同で行うようになった。

ファミリーマートと取引のある広告代理店の関係者は、「このような体制は、ファミマ以外では一部の外資系を除いて聞いたことがない。他社にノウハウが流出する心配もあるが、相手からも盗めるのでそこはフェア」と語る。チーム体制であれば、案件ごとの入札体制で起こりがちな、代理店Aの案件でのミスを代理店Bが別案件で犯す、といった事態も防ぐことができる。

代理店のメンバーは「30代以下」限定

このチーム体制では、そこに参加する各代理店のメンバーを「原則、ライバル意識が比較的低く、互いに協力しやすい30代以下に限っている」(足立氏)。前出の代理店関係者は「ファミマは業界2位であり、ブランド力や予算の規模は代理店のスター社員を引きつけるほど大きくない。だけどやる気のある若手が『ファミマと一緒に仕事をしたい』と思わせる仕組み作りは上手。予算もつけず、文句ばかり言うほかの広告主にも見習ってほしい」と話す。

チーム体制の成果として印象的なのはCMだ。いずれも今年放送された「生コッペパン」、「だいたい40%増量作戦」、「おむすびリニューアル」のCMはすべて俳優の吉田鋼太郎氏を起用している。これらはそれぞれ違う代理店が企画したものだが、それぞれの担当代理店が、出演者との窓口になっている代理店と協力関係にあるため、吉田氏を「流用」できているというわけだ。

【2023年10月28日23:00追記】協力関係についての表記を上記のように訂正しました。

コンビニ業界の関係者は「良いものを作って、ただ宣伝するだけで売れる時代は終わった」と口をそろえる。そのような環境下、どうやって商品を知ってもらい、手に取ってもらうかを考えるマーケティングの重要性は年々高まっているといえる。

セブンは今年3月にマーケティングの担当部署を商品担当やQC(品質管理)・物流管理担当と同格の「本部」に格上げした。ローソンも昨年夏から大型のテレビCMを積極的に投下している。

ファミリーマートはその中でも独自色を失わず、好調を維持できるか。足立氏のマーケターとしての手腕が問われるのは、むしろこれからになる。

冨永 望 東洋経済 記者

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とみなが のぞむ / Nozomu Tominaga

小売業界を担当。大学時代はゼミに入らず、地元密着型の居酒屋と食堂のアルバイトに精を出す。好きな物はパクチーと芋焼酎。

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