そして、「1年間この取引先を担当できれば、営業職として成長もできる」と意味を感じられれば(有意味感)、「あの取引先が納得できるような提案ができるように勉強しよう」と、把握可能感を高める行動に出ることができます。
また「前任者である先輩に聞いてみよう」と人脈を活用して「なんとかなるだろう」という気持ちにつなげることができます(処理可能感)。このように首尾一貫感覚を構成する3つの感覚は、お互いにつながっていて影響し合っているものなのです。
異動先でストレス、どう考える?
首尾一貫感覚の3つの感覚が具体的にどういうものなのかを、さらにつかんでいただくために、実際のエピソードでご説明していきましょう。
首尾一貫感覚を理解するのは難しい……と思った人もいらっしゃるかもしれません。しかし、「首尾一貫感覚」は、その名称からもわかるように、あくまでも〝感覚〟なので、〝なんとなく〟あるいは〝感覚的に〟とらえていただければ十分です。
私のところに相談にきた松本さん(仮名/30代女性)の事例をご紹介します。松本さんは、入社して以来ずっと同じ部署にいましたが、別の部署に異動になって問題にぶつかりました。仕事の内容は大きく変わらなかったのですが、新しい上司や同僚との人間関係や部署の雰囲気が自分に合わなかったのです。
具体的には、上司の指示がわかりにくく、聞き直したりすると機嫌悪く対応されることがストレスだったようです。また、殺伐とした雰囲気の部署で、仕事以外の話ができる同僚もいませんでした。
松本さんは、この部署で働き続けることは難しいと思い、今後どうしたらいいかわからなくなったため相談にきたのです。そのときの松本さんの考え方やとらえ方を首尾一貫感覚の3つの感覚で掘り下げていくと、次のように整理できました。
どんな人でも、職場環境が変われば相応のストレスを感じるものです。松本さんのように考えてしまうのは、しかたがないのかもしれません。
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