未曾有の危機に立ち向かう再生可能エネルギーの未来《1》将来有望な太陽光、風力、地熱エネルギー
日本の再生可能エネルギー利用は全体の1割未満
日本が自国内で確保できるエネルギー源は4%、残り96%を輸入に頼っている。2009年度の発電電力量内訳を見ると約6割が石油など化石燃料、約3割が原子力で、再生可能エネルギーは風力、太陽光、地熱等に水力を併せても1割にも満たない(図参照)。
さらに長期の推移を見るとここ数十年の電力需要増は原子力とLNG(液化天然ガス)の拡大で賄っていたことは明らかだ。
このエネルギー供給の基となる「エネルギー基本計画」は、安全保障・経済・生活と密接にかかわる国家戦略である。11年5月11日、菅首相はこのエネルギー基本計画の見直しに言及した。これまでは原子力を基軸とし2030年には発電電力量の50%を賄うことを目指していたが、「今後は再生可能エネルギーと省エネを柱とする」という大きな方向転換である。
だが、現在の風力、太陽光、地熱などの発電量は1%程度のうえ、この10年間はほぼ横ばいである。脱原発には賛成したいが、かといって再生可能エネルギーが本当にその代替になれるのか、誰もがその点に不安を覚えているのではないだろうか。
震災後でもCO2削減は必要
再生可能エネルギーを考えるとき、さまざまなメリット・デメリットが存在するが、1つ大きなメリットに「CO2排出量が化石燃料に比べて1ケタ以上小さい」ことがある。今後の国際交渉の動きは不確定ではあるものの、世界全体の低炭素化の流れはもはや変わることはなく、原発事故を理由に日本のCO2削減義務が免除されるわけでもない。