未曾有の危機に立ち向かう再生可能エネルギーの未来《1》将来有望な太陽光、風力、地熱エネルギー

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 そのような中、再生可能エネルギーへのシフトはエネルギー確保とCO2削減の両立に加え、新たな産業を生み出し、雇用を確保することを可能とする大きな事業機会なのである。問題は、「それは日本で本当に可能なのか」、そして「どうやって実現するのか」である。

再生可能エネルギーは40年後の主力エネルギーに

日本および世界の再生可能エネルギーの導入可能量についてはさまざまな試算がある。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が5月に発表した報告書では、約40年後の2050年までに最大で全世界の77%の電力需要を再生可能エネルギーで賄えると結論づけている。

WWF(世界自然保護基金)も2050年までに再生可能エネルギー100%に移行する筋道を示した技術シナリオを2月に発表した。また環境省は先日、事業採算性を加味したシナリオに基づく国内の再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査を発表した。

単純にエネルギー量だけを見た場合、世界全体、また日本であっても再生可能エネルギーのポテンシャルは十分に大きいことがわかる。しかし、導入に際してはコストや設備等のさまざまな制約条件が存在する。日本が再生可能エネルギー大国としてこの新しい市場で台頭するためには、既存の発想や枠組みを超えた強力な取り組みが必要である。

さて、次回以降は、太陽光や風力等のポテンシャルと推進施策の現状、そして国内外の事例から再生可能エネルギー活用のカギを探りつつ、日本のエネルギー戦略の未来について考えていきたい。

ふじつ・ともこ

 CSR・環境に特化したコンサルティング会社である株式会社イースクエア コンサルティンググループ マネジャー。慶応義塾大学卒業後、経営コンサルティング会社にてエネルギー業界を中心に業務改革、顧客戦略立案、M&Aのビジネスデューデリジェンス等に携わった後、ロンドン大学インペリアルカレッジにて環境技術学修士号を取得。専門は気候変動問題。現在は大手企業を中心に、環境・CSRの戦略立案、サステナビリティにかかる事業計画策定、カーボンマネジメント推進などのプロジェクトに従事するほか、企業ネットワークの運営を担当。サステナビリティ先進企業ネットワーク「フロンティア・ネットワーク(TFN)」のリーダー(06~08年)、持続可能な低炭素社会の実現を目指す「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan−CLP)」の立ち上げと運営責任者(08年~)を務める。
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