音楽ビジネスは“水モノ”といわれますが、ヒット曲が出ると、急に広告宣伝費を増やすことがよくあります。
そこで、余ったCM枠のうち、若い人に支持されている番組だけをまとめて商品にしました。放送まであと数日というタイミングでしたが、それはあっという間に完売しました。その後ほかの放送局も追随して、一般的な広告商品になっていきました。
これは、とても刺激的で高揚感のある体験でした。以来、私は「会社を稼がせる」ということに強い意欲を持つようになりました。
私が企画した「逃走中」という番組では、有名になる前からDVD化やゲーム化をしたくて、社内外にしつこく働きかけていました。当時は人気もなく定期的な放送が約束されていないコンテンツでしたので、むしろ「ゲーム化などで収益が上がること」を理由にして放送させてもらうように会社にお願いしていました。
アプリゲームでは国内2位(当時)のダウンロード数を記録した「ヌメロン」という番組も、ゲームアプリでお金を稼ぐことを目的として企画しました。
私に課せられた仕事は「番組で視聴率を獲ること」でしたが、むしろ「会社を稼がせること」に強い関心がありました。もう15年以上前の話ですが、今でいうIP(Intellectual Property)を創出してお金を稼ぐことが、近い将来のテレビ局で必要なビジネスと考えていました。
その結果、番組制作の範疇を超えたコンテンツビジネス、海外へのフォーマットセールス、ゲームの作り方、おもちゃの製造、著作権にいたるまで、幅広い経験とノウハウを得ることができました。
会社員でも「お金を稼ぐ構造」がわかってくると、「働いたぶんだけ給料を貰う」という意識から、「会社を稼がせたり、会社に価値を与えたことの対価として給料をもらう」という意識になってきます。
これは「雇われている」という意識から解放されることを意味します。組織の中で自立した心持ちでいられると、精神衛生上もとても健全に過ごせます。
「売れている商品」を見ると悔しい
私は、「売れている商品」「はやっているサービス」「うまくいってる事業」を見ると、悔しいと感じます。
以前はそんなことはありませんでした。しかし、「お金を稼ぐ構造」を知れば知るほど、「それは自分にもできるんじゃないか」と思うようになってきました。
「今できなくても、これがあればできるな」とか「アレが足りないから、そこだけ埋められれば同じように稼げるかもしれない」と感じます。とはいってもほとんどは感じているだけですし、「やれそうだと思うこと」と「実際にやって結果を出す」のは雲泥の差がありますから、あまり偉そうなことも言えないのですが(笑)。
成功しているビジネスを自分事にできるようになると、社会全体に対する解像度が各段に上がりますし、何よりビジネスの話がとても楽しくなります。守備範囲が広くて、意欲的なビジネスパーソンとして、一段階上がれます。
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