こうしてたくさん売れてくると、たくさん仕入れることになります。たくさん仕入れると、以前よりも安く仕入れられることに気づきます。安く仕入れることができると、利益が増えます。そうすると、もっと商売が楽しくなってきます。
売値を下げて、ライバル商品より優位に立つようにするかもしれませんし、増えた利益を使ってスペックを上げたり、デコレーションしたりして類似商品よりも良いモノにしようとしたりします。これが「競争力をつける」「付加価値をつける」ということです。
競争力や付加価値がついてきて、お金もたまってくると、他者から仕入れるのではなく、イチから製造する気になってきます。これが「ブランドをつくる」ということです。
ここまで来ると仕入れ方と売り方だけでなく、法務、税務、人事などバックオフィスの実務もより高度に知ることになります。このように、ただの「せどり」だと思っていたことから、あれよあれよという間に、立体的なビジネスができたり、幅広い経験やノウハウが手に入ります。
ここまで進むかどうかは別として、稼ぐことに貪欲にならないと、このような展開にはなりません。
ちなみに、ここでお話したいのは、「副業をしよう」とか「起業しよう」ということではありません。会社員でも「会社が稼ぐことを自分事にしたほうがいいですよ」ということです。
会社員は、会社が稼いでいてもいなくても、基本的には急に給料が変わることはありません。しかし、稼ぎ方に興味を持つと、自分の仕事の解像度が各段に上がります。自分がいる会社の「稼ぐ構造」をより知りたくなるでしょうし、自分と関係しない部署の動きも気になってきます。
「ここがこうなったらもっと儲かるのに」とか、「もっとムダが省けるのにな」と感じるようになります。「全社を俯瞰で捉えて、自分の仕事を進める会社員」なんてめちゃめちゃ優秀ですよね。
それがいきすぎると一部の上司からは疎まれる危険性があるので、注意が必要ですが(笑)。少なくとも経営陣から見ると、どう見ても出世させたい頼もしい存在です。
「会社を稼がせる」意識を持つ
私はテレビ局で19年間、会社員をしていました。
番組企画の仕事をする前、最初は営業の仕事をしていました。仕事内容は番組のCM枠を広告代理店やスポンサーに売る仕事でした。会社員ですから売ろうが売らまいが給料は変わらなかったのですが、「売ったぶんだけ数字が積みあがっていくこと」を楽しく感じていました。
一生懸命売っていてもすべてのCM枠を売り切ることができないときもあります。放送日が近づくと、より売れなくなります。あるとき「余ったCM枠をまとめてパッケージにして売れないか」と考えました。
当時は「CDバブル」といわれていた頃で、レコード会社が音楽のCMをたくさん放映していました。レコード会社のCMは若い人をターゲットにしていましたが、当時の勤めていたテレビ局は若い人に訴求できる媒体として評価を得ていて、相性の良い間柄でした。
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