津波被害を免れても雨漏りが深刻、梅雨の季節で東日本大震災被災地に悩み
梅雨の季節に入り、東日本大震災の被災住民に新たな問題が発生し始めた。全壊などを免れて、自宅での生活を維持できている人たちが自宅の雨漏りに困惑し始めたからだ。
今回の震災では、津波被害を受けた海沿いの地域では、家屋の全壊が目立つものの、海岸線から離れた地域では家屋は崩壊せずに残っているケースが多い。しかし、地震被害は避けられなかった。
典型的なケースが日本家屋特有の問題としての瓦の落下などだ。そうした家屋では、非常手段として、ブルーシートを瓦が崩落した部分に敷いているが、強風のためにブルーシートが吹き飛んだり、あるいは、ブルーシートを敷いて箇所から雨漏りしたり、住民の苦労は耐えないでいる。
いわき市久ノ浜町末続地区は津波被害が甚大で、家屋全壊が目立ち、犠牲者も多く発生した。最悪の事態を免れたものの、住民の多くが自宅を失って、今も避難所での生活を余儀なくされている。その地域で、どうにか、自宅が崩壊せずに生活しているのが農業を営む遠藤夫妻だ。夫妻のもとを5月29日に訪問した。
家の中に入ると、壁のひび割れなどが目立ち、地震の影響が大きかったことがかわる。罹災証明発行のために市役所が行った家屋調査では「大規模半壊」と認定された。
遠藤さんが今、困り果てていることのひとつが瓦の修繕工事がまったく進まないことだ。瓦工事職人に連絡しても「瓦を固定する土が足りなくて工事ができない」という返事ばかりで、一向に修繕には訪れない。
実際、震災後、瓦の需要に生産が追いつかない状況が続いているが、「このままでは、雨漏りがひどくなって、せっかく、残った家がダメになる」と困惑している。
ちなみに、津波は遠藤さんの自宅の前まで及んだ。したがって、自宅前までの田畑は塩害を被った。そこで、遠藤さんは、避難した近隣の人の畑を借りて、野菜の苗を植え始めたが、「家のことが心配で仕事に身が入らない」と言う。