津波被害を免れても雨漏りが深刻、梅雨の季節で東日本大震災被災地に悩み

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 そのうえ、遠藤さんが住む末続地区は福島第1原発からちょうど30キロメートルにあたる。政府は、いわき市全体を30キロメートル圏外という扱いにしたが、それは政治的な判断とも言える。

現実には、多くの農家が自主的に今年の作付けを取りやめている。遠藤さんが住む地区でも110軒の農家のうち、今回、作付けしたのはたったの2軒だけだ。隣の地区で農業を営む佐藤さんも「自分たちで放射線量を調べたら、けっこう高かったので作付けをやめた」と語る。

それどころか、昨年収穫した米も納入先から返品されるような事態が相次いでいる。

「定期的に直接買ってくれている人たちからの注文も途絶えた。結局、昨年の米は自分たちで食べるしかない。だったら、今年の作付けしないという気持ちにもなる」と佐藤さんは苦笑いを浮かべている。

久ノ浜町はいわき市の中心部から離れた地域ということもあって、いわき市によるガレキ撤去作業も明らかに遅れがちだ。したがって、住民たちが独自に撤去作業しているが、道路に積み上げたガレキの山をみたら、畳からきのこが生え始めていた(→写真)。湿気が高まれば、もっと生え始めるにちがいない。きのこであればまだいい。今後、このままの状況の続けば衛生上、問題があるような事態も発生しかねない。

この地域に限らず、雨の季節を迎えた被災地には2次、3被害発生の懸念が高まっている。
(浪川 攻 =東洋経済オンライン)


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