こうした結果、イスラエルとの境界に近いガザ地区北部の地域は、家屋が軒並み破壊される甚大な被害が出る恐れがある。イスラエルは2014年の侵攻作戦でハマスの脅威を除去したと表明したにもかかわらず、今回の事態を招いている。このため、これまでの被害規模を大きく上回る凄惨な状況がガザ地区で展開されることになるだろう。
ガザ地区では北部の住民に退避するようイスラエル軍は呼び掛けており、対象住民の数は110万人に上る。だが、国連施設や学校など安全とされる場所は既に避難した住民で一杯になっているほか、南部に親戚がいない人などもおり、北部から避難した人の数は限定的だ。
対象地域に住む友人は取材に、「どこに行っても安全な場所はない。われわれはイスラエル建国で生じた難民の子孫であり、さらにどこかに避難するつもりはない。ここで死ぬ覚悟だ」と語った。
乗っ取られた「パレスチナの大義」
ガザ地区では、ハマスの支持者がかなり存在するが、友人は「パレスチナの大義は、イスラエル極右とハマスによる狂信的な宗教戦争に乗っ取られてしまった」と嘆いた。ハマスはガザ地区で恐怖の支配体制を敷いており、「ハマスを批判するような人は誰もいない」と、ガザ地区の実情を証言した。
こうした状況下、ガザ地区で厭戦気分が高まることは想定できず、焦点は、ガザ地区でのパレスチナ人の死者数が拡大していくことが予想される中で、イスラエルや国際社会、ヒズボラやイランなどの反イスラエル陣営がどう動くかになるだろう。
イスラエルとヒズボラは2006年に軍事衝突し、イスラエル軍はレバノンに侵攻、ヒズボラもゲリラ戦を展開したほか、イスラエルに大量のロケット弾やミサイルを撃ち込んだ。ヒズボラはその後、ロケット弾やミサイルの備蓄を進め、10万発以上のロケット弾やミサイルをイスラエルに向けて発射可能といわれている。
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