死者4万人も「ガザ侵攻」で危ぶまれる凄惨な展開 「宗教戦争」と化したパレスチナ紛争の行方

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不可避とみられるイスラエル軍のガザ地区への軍事侵攻はどう展開され、どのような結末を迎えるのだろうか。過去のガザ地区やヨルダン川西岸での軍事作戦を考慮して予想したい。

イスラエルのベニー・ガンツ前国防相は、「ハマスを消し去る」との決意を語っているが、ガザ地区に根を降ろし、住民からも一定の支持を受けるハマスを根絶するのは不可能だ。

市街地でのゲリラ戦を展開するハマスに対し、中東の最強の軍事力を誇るイスラエルだが、その軍事力を人口が密集するガザ地区に全面投入することはできない。

過去の例を見ると、ハマスが建設した地下トンネルの破壊を終了した、ハマスのテロ基盤を破壊した、ハマスの脅威を除去したなどとイスラエル軍は作戦目的の達成を表明し、エジプト政府などの仲介で停戦に入るのが通常のパターンである。

かつてないほど長期化する可能性

2014年のイスラエル軍のガザ侵攻では、7月17日の作戦開始から8月26日の停戦まで50日間を要している。今回の作戦規模は、前回と比べられないくらいに大規模になる可能性が高く、長期化するものとみられる。

イスラエル軍は、ガザ地区やヨルダン川西岸で過去に実施した際の作戦の教訓を踏まえ、戦車を侵攻させる場合、仕掛け爆弾の脅威を除去するために道路の舗装を剥がしたり、家屋を破壊して進路を確保したりして作戦展開するだろう。

さらに、ハマスの地下トンネルは、民家からイスラエル境界などに向けて掘られており、イスラエル軍は、建物から民間人を退避させたうえでバンカーバスター(地中貫通爆弾)を使用するとの見方も出ている。

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