日テレ新会社は「ネットとテレビの接着剤だ」 独占!HAROiD社長がすべてを語った

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安藤氏は、日本テレビでJoinTVというコンセプト作り、実際の企画立案、制作まで関わってきた人物。JoinTVのアイディアを番組と連動するネットイベントとしてまとめ上げる中で、JoinTVの一部、あるいはJoinTOWNの開発においてバスキュールと協業してきた経緯もあった。

そうした両者の関係が発展してHAROiDの設立に至ったと考えるのが妥当だろう。しかし、話を始めると安藤氏は「まず理解していただきたいのは、HAROiDは日本テレビ局内で開発を進めてきたJoinTV、JoinTOWNという仕組みを、単純に子会社化して外注するために作ったわけではないということです」と切り出した。

テレビ放送事業とネットの関係性を変える

「JoinTVなどの企画・開発を行う中で、テレビ放送事業をネットとつなぐ最適な方法をこれまでずっと考えてきました。そのアイディアを元に、事業企画を立てて日本テレビ経営陣に提案したところ、最初の賛同者として日本テレビも出資することが決まりました。しかし我々の事業の目的は、日本のテレビ放送全体を新しい時代に適応させるためのフレームワークを提供することです」(安藤氏)。

すなわち日本テレビが、自社が企画・制作するテレビ番組を変えるために投資しているのではなく、幅広く”テレビ事業そのものを新しい時代に適応できる手伝いをする。これを主にB2B事業として日本テレビだけでなく、すべての在京キー局、地方局、さらにはCATV事業者に対しても技術、アイディア、サービスなどの面で価値を提供するということだ。

「ネットの帯域が急拡大し、特に北米のテレビ事業は大きく環境が変化しています。では北米のトレンドを追いかければ良いかと言えば、国ごとに法律を含めて事業環境が異なっているため、日本市場に合わせて自分たち自身で視聴者や広告主などの考えや反応も見極めながら、進む方向を考える必要があります」

しかし、一方でテレビ局側も焦って独自に何かをしかけるといったことは避けるべきとも考えている。「60年以上もの間、メディアの王者として君臨してきた"テレビ”が、今日明日なくなることもありませんから、テレビ局、インターネットサービス、両方の状況を踏まえながら冷静に未来を見るべきだと思います」。

そんな中で、テレビというメディアがどう変化するのか。”ネットの世界”になれていないテレビ関係者は、過度にネットコンテンツを評価過ぎる傾向があるという。「逆もまた同じで、ネット側から見た場合のテレビの価値は過小評価されることが多いように思います。その結果、双方が互いを深く理解しないまま、テレビとネットを連動させてもうまく行きません」

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