ジャニーズ問題、日本企業が知るべき「海外の視点」 ビジネス優先で「見て見ぬふり」は許されない
ジャニーズ事務所の創設者、故・ジャニー喜多川氏による性加害が明らかになる中、日本企業も対応を迫られており、日産自動車、日本航空などがジャニーズ事務所所属タレントの広告起用を当面見送る方針を示したほか、サントリーホールディングスなどはタレントとの契約更新をしないことを決めた。
帝国データバンクの調査によると、自社のテレビCMなど広告や販促物にジャニーズタレントを起用した上場企業65社のうち、9月末時点で放映中のCMなどを「中止する」と表明した企業は19社、契約期間満了後に「契約を更新しない」などの対応を表明した企業は14社に上る。
経済同友会の新浪剛史代表幹事(サントリーホールディングス社長)は9月12日の記者会見で、「世界の企業や海外メディアからも注目を集めており、所属タレントの起用は児童虐待を認めることになるため、国際的な非難の的になる。日本企業は断固として(ジャニーズ事務所に対し、児童虐待を許さないという)毅然たる態度を示さなければならない」と語った。
曖昧に消し去ろうとすれば、世界から不信感
児童虐待に日本よりはるかに厳しい欧米のみならず、世界に製造・営業拠点を持つ日本企業にとって、海外からの評価は気になるところだろう。グローバルリスクマネジメント研修を長年行ってきた筆者は、日本企業がジャニーズ事務所と距離を置く決断をしたのは正しいと考える。
ただ、当の事務所、メディアなどエンターテインメント業界が再発防止に真剣に取り組まず、ガバナンスを見直さず、曖昧に消し去ろうとすれば、グローバルに広がった日本及び日本企業への不信感を払拭することはできなくなるだろう。
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