石けんの売上を6倍にしたあるシンプルな行動 顧客に商品の強みを伝え切ったウタマロ石けん

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ただ、その「試していただく」ことの難しさは、顧客ターゲットに確実に届けるところにあります。顧客ターゲットでない方にサンプルを渡しても意味がありません。

顧客ターゲットは、「子どもの靴下の泥汚れに悩む親」です。大型ターミナル駅の駅前で無作為にサンプルを配布しても、顧客ターゲットに届く確率は相当に低いはずです。この「顧客ターゲットにサンプルを確実に届ける」ことが「真の戦略課題」だったと言えそうです。

戦略の急所をつき、顧客の買いたいを作った行動

そこで、ウタマロ石けんが「顧客ターゲットにサンプルを確実に届ける」ために取った施策が……、

『11月中旬、広島市で開かれた親子向けサッカーイベント。泥んこになって遊ぶ子どもたちの傍ら、緑色の固形せっけんが母親の視線を集めた。せっけんの名は「ウタマロ石けん」。会場の一角で、エプロン姿の男性がごしごしと部分洗いを実演。「しつこい泥汚れがこんなに簡単に落ちるなんて」。驚いた表情の30代の主婦は、エプロン姿の男性から手渡しされたサンプル品を持ち帰った』(2018/11/23、日経MJ、1ページ)

ウタマロ石けんのサンプルを『親子向けのサッカーイベント』で配るわけですね。

なぜ「親子向けサッカーイベント」かというと、そこに顧客ターゲット、すなわち「子どもの靴下の泥汚れに悩む親」がいるからです。サッカーは「子どもの靴下の泥汚れ」度合いが極めて高いスポーツですから、そこにいる親はほぼ間違いなく「子どもの靴下の泥汚れに悩む」人です。

「親子向け」ですから、当然親がいます。例えば、父親と子どもがサッカーをしている間、手持ち無沙汰になっている母親にウタマロ石けんで泥汚れが落ちる「実演」をすると、その汚れ落とし力に驚くわけです。そのタイミングで石けんのサンプルを配布し、家でお使いいただければ、子どもの靴下の泥汚れが落ちることを実感していただけます。

そして、ウタマロ石けんはスーパーやドラッグストアで売っていますから、お客様は次はそこに買いに行きます。

そして、ここまでの、

・顧客ターゲットである「子どもの靴下の泥汚れに悩む親」に、

・その顧客ターゲットがいる「親子向けサッカーイベント」で実演して汚れ落ちを実際に見ていただき、

・石けんのサンプルを配布して実際に使っていただく

という一連の施策が、ウタマロ石けんの「買いたいを作る行動」となっていることがわかります。これが、ウタマロ石けんの戦略の「急所」となっているのです。

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