石けんの売上を6倍にしたあるシンプルな行動 顧客に商品の強みを伝え切ったウタマロ石けん

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ここでいう「急所」はお客様の心の中にあるボタンのようなものです。そのボタンを押すと、お客様の「買いたいランプ」が点灯します。そして、「あなたから買うよ! むしろぜひ買わせて!」と言ってくれるようになります。つまり、

・戦略の「急所」=お客様の「あなたから買いたい」が一気に高まる点=お客様の「買いたいボタン」

です。

ウタマロ石けんの「急所」は、お客様にウタマロ石けんを実際に使って試していただき、その洗浄力を実感していただくことなんです。一言で言えば「試せばわかる」です。

逆に、ウタマロ石けんは使っていただかないと効果がわかりにくい(=「買いたい」が作れない)商品ということでもあります。CMなどで効果を連呼しても、お客様が「強み」を実感しにくいのです。試していただく以外の打ち手が少ないのです。だからこそ、「買いたい」を作るにあたって、「顧客ターゲットに試していただく」ことが必須となります。

この「顧客ターゲットに試していただく」ことが、「必須ではあるが、実行が難しい」という意味で、自社から見ると「戦略上の最重要課題(の1つ)」となっていました。その課題を解消したのが、「親子向けサッカーイベントでサンプルを配布する」という「行動」です。これがまさに「戦略の急所」でした。ウタマロ石けんを「買って買って買って」とお願いするのではなく、「試せばわかる」という「急所」に刺すことでお客様が「買いたい」と思い、売上が10年で6倍になったんですね。

「急所」がわかればKPIが決まる

このような戦略の「急所」がわかれば、KPIすなわち組織として「追うべき指標」が決まります。

顧客の「買いたい」をつくる KPIマーケティング
『顧客の「買いたい」をつくる KPIマーケティング』(朝日新聞出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

ウタマロ石けんのKPIは、「顧客ターゲットに配布した石けんのサンプルの数」になるはずです。サンプルを顧客ターゲットに配れば、お客様が「買いたい」と思い、買いに行きます。

それが「売上」につながるわけです。

ですから、「サンプルを配れば売上が上がる」というロジックが成立します。

このような、急所をついたKPIがわかれば、「売上」を追う必要がなくなります。組織全体としてKPIを追いかけて行けば、売上は自動的に上がっていくのです。

ウタマロ石けんは、まさにそれを実行しているんです。そしてマーケティングや営業におけるKPIとは、まさにそれを追いかければ売上が必然的についてくる、という指標なんです。

佐藤 義典 マーケティング・コンサルタント

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

さとう・よしのり / Yoshinori Sato

ストラテジー&タクティクス株式会社代表取締役社長。米国ペンシルバニア大ウォートン校MBA。中小企業診断士。大手通信会社でマーケティング・営業を経験した後、外資系メーカーのブランド責任者、外資系エージェンシーの営業ヘッド、コンサルティングヘッドを歴任。2万人超が購読する無料メルマガ「売れたま! 」の発行者としても活躍中。『図解 実戦マーケティング戦略』(日本能率協会マネジメントセンター)、『ドリルを売るには穴を売れ』(青春出版社)など著書多数。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事