貴重な好事例「宇都宮LRT」各方面から注目の訳 公共交通「リ・デザイン」の先端がここにある

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宇都宮市がいうNCCでは、JR宇都宮駅や東武宇都宮駅がある都市拠点と、郊外部の地域拠点、さらに奥地の集落、大谷石の里などの観光拠点、そして芳賀町と隣接する産業拠点を、「ライトライン+定時定路型バスの再編+地域内交通」という、ライトラインを基軸とした階層性のある公共交通ネットワークの構築を目指す。

「目指す」としているが、正確にいえばNCCはすでに社会実装のステージにあるといえるだろう。

ライトラインを軸とした移動の形

ライトライン開業にともないトランジットセンターでは、定時定路型バスの路線を新設した。

例えば、平日の場合、506本から654本に増加。さらに、タクシーやミニバンを使う地域内交通では、定時定路型でトランジットセンターを停留場に加えたほか、利用者の要望によって自宅まで送迎するオンデマンド交通は、付近のライトライン停留場を目的地に追加している。

また、乗用車からライトラインなどへの乗り換えや出迎え用に、ライトライン沿線で駐車場約150台分と駐輪場約500台分を新設した。

そのほか、小型モビリティサービス関連ベンチャーのLUUPなどと連携して、電動アシスト自転車や電動キックボードのポートを40カ所程度に設置するという。

平石停留場のトランジットセンター(筆者撮影)
平石停留場のトランジットセンター(筆者撮影)

料金体系も、大きく見直された。

先に一部を紹介したが、改めて全体像を示すと、totraを使えば、定時定路型バスは「どこまで乗っても1乗車(片道)400円」に。市の北部からだと、850円だったものが半分の負担で済むようになった。

さらに、各種交通機関の乗り継ぎで料金を割引く。具体的には、「定時定路型バスとライトライン」で100円割引、「定時定路型バスと地域内交通」または「ライトラインと地域内交通」でそれぞれ200円割引となる。

目指していた「さまざまな組み合わせで、どこから乗っても街中(都心部)まで片道500円以内」(定期利用以外、バス上限制度適用時間等条件あり)を実現したのだ。

加えてライトラインには、「ゼロカーボントランスポート」という観点もある。

必要とする電気は、地元のごみ処理施設「クリーンパーク茂原」でのバイオマス発電や、家庭用太陽光発電などから宇都宮ライトパワーが調達し、ライトライン運行用に供給する。同社は、再生可能エネルギーの地産地消を推進する、官民共同出資の地域新電力会社だ。

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